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蓑虫の音を聞きに来よ草の庵 芭蕉の蓑虫の句

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 父の本を処分することにした。捨てがたいが仕方がない。業者に家具類と一緒に処分を頼んだのだが、束ねた中に「大芭蕉全集」があったので抜き取って開いてみた。昭和十年刊。読んでいたらおもしろくなって、手元に置くことにした。

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 蓑虫の音(ね)を聞きに来(こ)よ 草の庵(いほ) /芭蕉

芭蕉本人の住まいのことかと思ったら、土芳が庵を作ったときに贈った句とも言われる。一説に蓑虫は「ちちよ ちちよ」と鳴く(清少納言「枕草子」)ということになっているが、ここでは音はおろか、何ら実質ではないものだろう。

芭蕉は土芳の庵を度々訪ねたとも言われる。俳人同士の語らいは、さぞ楽しかったと思われる。
   
以下著者(本山桂川)の抜粋。現代かなとする。

 芭蕉に「蓑虫跋」という一文がある。「草の戸さしこめて物わびしき折しも、たまたまみの虫の一句をいう。わが友素翁(素堂のこと)はなはだあわれがりて詩を題し文字をつらぬ。云々」句は草庵へ蓑虫の音を聞きに来いというのである、蓑虫の鳴く音は細く淋しいと思われているので静寂の境地を愛する人々には好ましいものであろう。(後略)」

「はなはだあわれがりて」とは、この場合、現代語でいう「哀れ」とは違い、その句に「感じ入って、賞美讃嘆して」というほどの意味であろう。

 芭蕉自身のその句への前書き。

草のとぼそに住みわびて秋風悲しげなる、(読点ママ)夕暮れ友ど(ママ)ちの方へつかわしける

「つかわす」が「あげる・贈る」の意味だとすると、素堂と語らっているところで浮かんだものを素堂に見せ、のちに土芳に贈ったのかもしれない。素堂が気に入って、自分があれこれ詩句を書きつけたというところがおもしろく思う。

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