歌人と作品 現代短歌

「ポンコツになつてしまった母だけど」タクシードライバー歌人高山邦男歌集『インソムニア』

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今朝のテレビ番組で、「タクシードライバー歌人」の高山邦男さんが紹介されました。

歌集「インソムニア」で、日本歌人クラブ新人賞を受賞されています。高山邦男さんの短歌をご紹介します。

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高山邦男さんの紹介

 

高山邦男さんは 1959年、東京都生れ。早稲田大学第一文学部卒。「心の花」編集委員。

歌集『インソムニア』は第一歌集。本歌集は第25回ながらみ書房出版賞とダブル受賞。

高山邦男さんの歌歴

中学生のころから詠み始め、大学では歌会に参加。

「心の花」編集委員ということなので、テレビ番組の予告だけを見ると、今はやりの何々歌人かと思われそうですが、本格的に長年作歌をされている方です。

第一歌集刊行後、今回の受賞に至りました。おめでとうございます。

 

「歌集インソムニア」紹介文

「東京のタクシー運転手としての仕事の歌を中心に、斬新な着想、自在な用語で、東京という都市の現在をうたい、そこに生きる私たちの心の起伏をていねいにうたう。

叙情詩としての短歌の可能性を果敢に追い求める作者の渾身の第一歌集。」

---佐佐木幸綱・帯文より

高山邦男さんの短歌

 

縁ありて品川駅まで客とゆく第一京浜の夜景となりて

温かい気持ち未来より感じたり今際のわれが過去思ひしか

わが仕事この酔ひし人を安全に送り届けて忘れられること

赤や青繰り返し点る夜の街のどこにもゐない点燈夫たち

赤信号ふと見れば泣いてゐる隣同じ放送聞いてゐたのか

誰一人渡らぬ深夜の交差点ラジオに流れる「からたち日記」

何時間続けるのだらう歩行者を誘導してゐる娘明るし

「心を守れ」ぼくは確かに思ふけど懸命な人を傷つけをらむ

タクシーの運転手としてつね語る景気の話題を師走から変へる

冬近し客呼びをする街角の娘たち上着一枚羽織る

観客のゐない未明を蛇行してバイク煙らす新聞配達人

霊廟のやうな時間を漂はせ赤色燈を点す交番

交差点の巨き海星(ひとで)の歩道橋一夜をかけて巡る空あり

違和感を感じつつ貼る「がんばろう!東北」もつとおれが頑張れ

冬近し客呼びをする街角の娘たち上着一枚羽織る

この夜も同じ辻にて客待てば棒振る男も同じ奴なり

掃除婦が欠伸する朝しろがねの光の視線に晒され歩く

お茶碗とお椀を三つづつ重ね家族の肖像めく食器棚

用があれば何でも言ってと何一つできない母が父の手を取る

ブント、かくさ、革命戦線、週刊誌にエロ記事と並ぶ過去の言葉は

牧水は飲むほどに静まりゆきしその静けさの深さを思ふ

我よりも年下になり漱石の横顔少々色気を帯びぬ

ポンコツになつてしまつた母だけど笑顔がぼくのこころを救ふ

高山邦男さん、平成万葉集に登場

 

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