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朝日歌壇より2018年4月21日分 自らの生活を詠う 改ざん問題時事詠も続く

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こんにちは。まるです。
朝日歌壇は日曜日に掲載に変わったのでしょうか。昨日21日の掲載分です。

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今週の朝日歌壇

季節の変わり目を過ぎると、外の景色の変化よりも、新しい自らの生活を詠うものが多くなってきました。

佐々木幸綱選

教職の最後の板書眺むれば「ん」の字で終わるしあわせな吾(対馬市)神宮斉之

在職中にやり残したこととてないのだろう。それを「しあわせ」とここではあえて入れてしまう。

牧場にすみれの花が咲き渡り草もろともに牛は食ひゆく(川越市)小野長辰

ありふれた光景なのだろうが、春は牛はすみれの花を食べる。牧歌的な風景がやさしく詠われる。「草もろともに」が良いところ。

その数を増やさずともよき社会こそ好ましきなり「子ども食堂」(仙台市)村岡美知子

「子ども食堂」の活動はとても良いものだと思ってニュースで見ているが、自宅でご飯が食べられない子供がそれだけ増えているということなのだ。
歌は4句切れにして、その後に名詞を置く構成。

魚ん棚のいかなご売りのおばちゃんが今年も不漁(アカン)と眉ひそめごつ(明石市)高野有

この歌は方言で詠まれている。今回の短歌時評は大辻隆弘さんがちょうど方言を含んだ短歌を紹介していた。
この歌も、人の「体温を帯びたような口語が生きている」歌そのものだろう。

高野公彦選

川堤おほふ菜の花四、五本を摘みて川守(かはも)り地蔵に供ふ(ひたちなか市)篠原克彦

少し前に紹介した前登志夫さんに似て、日本の古い風景が伝わるような歌。「四、五本を」の具体には、正岡子規の「鶏頭の十四五本もありぬべし」が思い出されるだろう。

副作用の苦しみ聞いて呉れるけど仕方ないねと医者の目は言う(三原市)岡田独甫

一応は聞いている、ということを患者の方はよくわかっているということか。歌としては微妙なところを捉えているけれども、ぜひおおらかにお過ごしください。

この電話詐欺師からだと見破って正しく生きよと強く言いやる(沼津市)岩城英雄

一読してとても面白いと思った。こういう人は今なかなかおられなくなってしまったとも思う。詐欺師とて元は普通の人、思い直すこともあるだろう。作者の応対はその信頼に満ちている。

永田和宏選

病院の番号灯れば立ちてゆく旅立つときもかくのごときか(東京都)坂信夫

いつ誰にどう呼ばれて、その順番が決まるのだろう。昔の童話にはろうそくが消えるときという場面があった。寓話的な不思議な歌だ。

しやがみこみ幼児は拾ふはな子亡き象舎の前に散りし花びら(三鷹市)増田テルヨ

シャンシャンでにぎわう動物園だが交替もある。ここでは作者だけが亡くなった動物を懐かしむのだろう。楽しい動物園にもある哀感。人の世とて同じだろう。馬場と共選。

裏庭に日向ぼこする狐おり教師に銃を持てという国(アメリカ)西岡徳江

日本の学校ではめずらしい田園的な風景。これは学校の裏庭なのだろうか、それとも自宅だろうか。そのような国において銃所持についての議論がなされることを、異国の人として見守る作者。

馬場あき子選

満月ってこんなに大きかったっけ人事異動を告げられし夜(東京都)佐藤幹夫

4月からの移動で希望したところに配属されたものか。この歌も、作者の感慨をそのままに伝える上句が口語、下句が文語と使い分けられている。

時事詠

改ざん問題他に関する作品を選者をまたいで記載します。

妻に代わり答える首相のアップ見る「女性の活躍」どこか空しく(浜松市)古橋妙子
森友・加計があれども支持率四十で何か怖いなこんな日本(徳島県)一宮一郎
「諫諍(かんそう)」という語を辞書に知る時に浮かぶ顔あり野中広務氏(町田市)冨山俊朗
真相を語らぬ人と語らせぬ人たちがいて闇深くなる(埼玉県)島村久夫
国民を欺いてまで守りたいものについては誰も語らぬ(筑紫野市)二宮正博
五〇回同じ答えを繰り返し倦(う)まざる者を能吏と呼べり(水戸市)中原千絵子
国会に花は咲けども実はならず霞か雲か佐川氏の言葉(桑名市)西羽加代子
国民を欺いてまで守りたいものについては誰も語らぬ(筑紫野市)二宮正博

為政者への批判はもちろんだが、二首目のそれを支持する人がいる現況への不安を詠んだ歌にも注目されたい。







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