朝日歌壇 未分類 現代短歌

朝日歌壇 馬場あき子x佐々木幸綱対談「歌から見えるいまの風景」

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朝日歌壇の選者である馬場あき子さんと佐佐木幸綱さんの対談が、これまでの朝日歌壇から選んだ短歌、ご自身の短歌と共に、朝日新聞に掲載されました。

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新聞投稿に見る短詩型の特徴

なんとなく知っている短歌の形式で投稿でき、活字で広く読まれる可能性があるというのは新聞の短詩型の一つの特徴。(佐々木)

時代の変化について

大きな事件が起きると投稿が増える。原発事故で引っ越さねばならないとか、詠んだことのない人が作り始める。何か言いたいんだと思う。(佐々木)
最近は、社会的なことを歌う「社会詠」が全体に減っている。歌いにくいんだと思う。どれほど珍しい内容だと思って歌っても、メディアが増えて映像が氾濫(はんらん)しているから、読者には当たり前のように思われる。(佐々木)
今はまっすぐな恋の歌がない。傷つきたくないのでしょう。(馬場)
最近は男性の投稿が増えてきた。定年前に歌を始める人が多い。(佐々木)

有名人の投稿者のエピソードも

連合赤軍の坂口弘さんも死刑が確定するまで朝日歌壇の常連だった。
安楽死を選んだオランダのネーダーコールン靖子さん。亡くなる直前の歌は選者全員が「入選」とした。
米国の刑務所に入っている郷隼人さんもかなりの高齢と思われる。
ホームレス歌人・公田耕一さんには紙面で呼びかけもしたが、とうとう名乗り出なかった。

お二人の短歌

一生に詠むうた読むうた思ひ出に梔子(くちなし)のはな咲きそふやうな 馬場あき子

帰りゆく雁(かり)がねの列見上げきて葉書の山に向かわんとする 佐々木幸綱

■過去40年の朝日歌壇から

この40年間の大きな出来事に関する投稿を、お二人の選者が選びました。
 <1985年 日航機墜落>
 墜落機に死にしわが子の骨を拾う苦しかりしや小さき小さき骨(福田清人)
 <89年 天安門事件、昭和天皇が亡くなる>
 なぜ銃で兵士が人を撃つのかと子が問う何が起こるのか見よ(中川佐和子)
 死刑囚と呼ばるるよりも呼び捨ての今がまだしもよろしかりけり(坂口弘)
 <91年 湾岸戦争>
 ゲームでもドラマでもない戦争が土足で居間に上がって来ている(宮本真基子)
 <95年 阪神大震災、地下鉄サリン事件>
 子を抱え地鳴りの中を逃れ来て血だらけの腕血だらけの足(杉岡壱風)
 <97年 投稿者のネーダーコールン靖子さん死去>
 座すことの叶(かな)う日再び来ることを祈りて入りし三たびのオペ室(ネーダーコールン靖子)
 <2009年 ホームレス歌人の投稿が話題に。民主党に政権交代>
 ホームレス歌人の記事を他人事(ひとごと)のやうに読めども涙零(こぼ)しぬ(公田耕一)
 囚人の己れが〈(ホームレス)公田〉想いつつ食(は)むHOTMEALを(郷隼人)
 <10年 松田梨子・わこ姉妹、朝日歌壇に登場>
 咲こうかなそれとも明日咲こうかな塾の帰りに桜の会話(松田梨子)
 始業式今日から私三年生カッパ卒業オレンジのかさ(松田わこ)
 <11年 東日本大震災、原発事故>
 原発の空のしかかるふるさとのここにいるしかなくて水飲む(美原凍子)

 ペットボトルの残り少なき水をもて位牌(いはい)洗ひぬ瓦礫(がれき)の中に(吉野紀子)
 <14年 非正規雇用が社会問題に>
 ぼくも非正規きみも非正規秋がきて牛丼屋にて牛丼食べる(萩原慎一郎)
 
  <17年 森友・加計問題>
 「忖度(そんたく)」が通訳できず記者たちが戸惑っているニッポンの闇(島村久夫)




新版 『現代の短歌  篠弘の選ぶ100人3840首』  篠弘 (編集)


戦後から現代にいたるまで活躍した歌人100人の短歌3840首を収録。
100人の短歌を集めた読み応えのある1冊です。短歌入門者から上級者まで対象。
手に入りにくい歌集からの選句もあり、短歌を詠む人には、手本となるような1冊です。


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