ゆたけきの意味は「豊か」基本形「豊けし」ただひとつ惜しみて置きし白桃のゆたけきを吾は食ひをはりけり 斎藤茂吉  

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ゆたけきの意味は「豊か」基本形「豊けし」ただひとつ惜しみて置きし白桃のゆたけきを吾は食ひをはりけり 斎藤茂吉

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「ゆたけき」の意味と語の説明です。

 「ゆたけき」は文語の形容詞「ゆたけし」の活用形です。

 ゆたけし=豊けし

意味は、現代語の「豊か」とほぼ同じです。

辞書における意味を見てみましょう。

 ゆたけし 
1. ゆったりしている。
2. 盛んである。盛大である。
3. 豊かである。富み栄えている。

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斎藤茂吉の短歌の例

斎藤茂吉の有名な短歌の一つ『白桃」からの歌で、用例を見てみましょう。

 

ただひとつ惜しみて置きし白桃(しろもも)のゆたけきを吾は食ひをはりけり 斎藤茂吉『白桃』

意味:惜しんで置いておいたたった一つのゆたかな白桃を食べ終わってしまったなあ

 

斎藤茂吉の歌集の題名に使われた有名な歌、歌集「白桃」の代表作の歌です。

この桃の「ゆたけき」、桃の豊かさとは、桃の大きさが豊かで大きいことでもあり、味わいが美味で豊かであるということでもありそうです。

なお、茂吉の歌の「白桃」の読み方は、「しらもも」です。

*この歌の解釈を詳しく読む
ただひとつ惜しみて置きし白桃のゆたけきを吾は食ひをはりけり 斎藤茂吉短歌代表作『白桃』

 

万葉集で使われている例

万葉集にも「ゆたけき」の言葉は見られます。

 

海原のゆたけき見つつ葦 (あし) が散る難波に年は経ぬべく思ほゆ 〈万・四三六二〉

意味:海原の豊かな風景を見つつ、葦の花散るここ難波(なにわ 今の大阪)の地で歳月を過ごしたいものだ。

 

眺めた海の大きさ、豊潤さを表す言葉となっています。

富み栄えている大阪の地も形容するものでしょう。

 

讃美歌「みめぐみゆたけき」の例

みめぐみゆたけき 主の手にひかれて
この世の旅路を あゆむぞうれしき

の、「ゆたけき」は

み恵みの豊かな主の手に 

との意味で、「めぐみの十分で尽きない」という意味の「ゆたけき」だろうと思います。

 

「ゆたけき」と聞くと、何かわからない感じがしますが、「豊か」の古い言葉だということがわかれば、意味は十分、意味が理解できるかと思います。




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