朝日歌壇より6月3日号 母の日の歌 田植え 高齢化変わらず - 短歌のこと

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朝日歌壇より6月3日号 母の日の歌 田植え 高齢化変わらず

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こんにちは。まる @marutankaです。
ブログがリニューアルにつき、まだところどころ表示が落ち着きませんが、順次修正いたしておりますので、少しお待ちくださいね。

朝日新聞の朝日歌壇から好きな歌を筆写して感想を書いています。
朝日歌壇は朝刊日曜日に掲載。当記事は、6月3日の掲載分です。

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朝日歌壇とは

朝日歌壇についての説明です。
「朝日歌壇」とは朝日新聞朝刊の短歌投稿欄です。俳句は「朝日俳壇」です。
新聞の短歌投稿欄は、どの新聞においても、誰でも自由に投稿できます。
投稿方法の詳しいことは別記事
「朝日歌壇」とは何か?朝日歌壇の紹介と他の新聞の短歌投稿方法と応募の宛先住所」
をご覧ください。

 

永田和宏選

 

母の日の短歌二首。

「母亡きは白」と渡されしカーネーション古稀を過ぐれど「白」を記憶す 加藤きよこ

母親を早く亡くした子を差別するかのような色の違い。多年にわたって作者の悲しみを癒すでなく、増すばかりと思うと胸が痛む。
今でも花屋には、「亡くなったお母さんに」と取り分けられた色の薄いカーネーションが置かれるが、比較的高齢の方が仏前に備えるものではないかと思ったが。

 

帰るなら来るなと言いし亡き父の寂しさを知るゴールデンウィーク 宮本真基子

ゴールデンウィークになると思い出す生前の父上の言葉。亡くなってからわかる人の意というものがある。死に変わらず、人が心に生き続けるということを思わせる。共選。

 

母の日にペットが愛おしいと母は言う私だってほらこんなにかわいい  佐藤知寧

若い作者。可愛らしい作品なのだが、作者の胸にはかすかな痛みがあるのだろう。子どもはいつでも親に愛されたがっている。お母さんは常々子どもにやさしくしてほしい。

 

馬場あき子選

四十一になりて独り身なる嗣子に非婚晩婚のデメリット説く 岡田独甫

結婚してもおしなべて晩婚の時代。親としては余計なお世話と思いながらも心配されるのだろう。「結婚しろ」ではなくて、論理的な「デメリット説く」にかえって気持ちが察せられる。

 

ハッチョウトンボ未だ生まれぬ田の池にメダカの居りてはつ夏日和 小林勝幸

上句のような提示、否定しながら「ハッチョウトンボ」を初句に置くは、居ると同じことなのだ。歌においては見えるものはすべてあるものである。否定的提示の、この効果は憶えておきたい。

佐々木幸綱選

5月の風景の田植えの歌が数首。

臨床に活せる知識ひとつ得て辺地へ戻る新幹線待つ  三浦大三

学会に参加した医師の作品か。下句「辺地へ戻る新幹線待つ」の閉じ方が良い。
このような勉強熱心なお医者さんがいれば患者も安心だ。

 

風光る五月の空に飛行船ぽっかり浮いて田植始まる  木村義熙

のどかな下句は、田植えを傍観する作者か。初句「風光る」の修辞もすてきだ。「始まる」も口語的で歌の雰囲気に合う。

 

夜のビルの窓ガラスに電車が通る高架下にサックスのメロディー  片山直子

めずらしく破調の歌。新鮮な感覚で都市の風景が詠われている。上句の情景が哀愁あるサックスの音色を思わせる。

 

ネクタイの付け根のあたりの咽喉(のど)ぼとけ本音を言へよ国民のため  野中曉

一連の時事問題を詠んだ歌はたくさん見られるが、目の付け所が良い。歌で具体を挙げるとはこういうことか。身体のその辺りに言うべきことが留まっているような気がするのだろう。

 

高野公彦選

高齢化社会を表すような歌も変わらず詠まれている。

箱眼鏡揺るるを押さへ小満(せうまん)の陽のきらめきの水雲(もづく)摘み採る  和田静子

「小満」とは今年は5月21日だと注にある。箱眼鏡が揺れるのは波のせいなのだろう。そして木漏れ日のように、波間にきらめく日の光。海の中の眺めを想像させる。

 

痛がらず恐れず別れさへ告げず逝つた父追ふ末期病棟  小坂進

「死と向い合ってさらに父の偉大さを感じております」と添え書きにあったと選者。静かな死は身内にとっても良いものだ。

 

辞世の句と遺影ひそかに隠し持ちひとり暮らせる父の九十四  橋本明子

高齢化社会になって死に方も変わってきたのだろう。死への準備期間がやたらと長くなり、「終活」なる言葉も生まれた。一人暮らしができるならお元気なのだろうが、娘さんにしてみれば心配だろう。

 

夏帽子ならぶ売場で足を止めまだ慣れずいる母なき母の日  松本亜紀

作者はお母さんに常々贈り物をされていたのだろう。物が目に入ると、反射的にお母さんを思い出す癖がまだ抜けない。
「母の日」は良いものだが、決して永続的なものではないのだ。

 

競うとき苦しげに人は走れども馬は雅びにのびやかに駆く  竹中庸之助

馬が疾駆する姿は少しも苦しそうには見えず、美しく目に映る。歌に詠まれて初めて気がつくことだ。

 

古稀の会100人の校歌どよめけりピアノを弾くは傘寿の恩師  四方幸子

古稀は70才、傘寿は80才。教える方も教わる方も共に老いの極みに近づく。老々介護ばかりでない高齢化社会の一面だ。

 

まとめ

母のいない子の母の日の悲しみはいかばかりか。親を亡くした晩歌も同時に読むと、親に感謝するというより、親がいるということも一つの恵みなのだろうとあらためて思います。
今残っている親を大切にしなければ。まだまだ母の日が続きますように。

 

 

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