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朝日歌壇より2018年1月29日

更新日:

冬なんて嫌いだ氷で転んだしそれを男子に見られちゃったし 赤松みなみ

単純な歌のようだけれども、「~だし」「~だんし」「~ちゃったし」と韻を踏んでいる。
あるいは偶発的に揃うのも、また詩文の妙。

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一頭の駱駝と砂漠ゆくごとくひとり飲む夜の小さき歩幅 後藤進


駱駝と小さき歩幅の関連がよくわからなかったので、短歌をやらない家人に聞いたら、酔うと歩幅が小さくなる、千鳥足ということでは、という。

では、駱駝との関連は、というと、「砂に足がめり込むような感じなのではないか」という。そして「砂漠は駱駝と歩むものだ。駱駝が居なかったら、行き倒れになってしまうだろう」との返答。いろいろに思いを巡らすことのできる歌。

以上、佐々木選。

平積みの高齢者向け人気本読んだりしないわたしはわたしだ 杉本恭子


芥川賞受賞作の若竹千佐子「おらおらでひとりいぐも」に着想を得たものか。
最愛の夫を失った時に主人公は根底から生き方を変え、世間の規範など気にせず、「おらはおらに従う」ようになったという小説。若竹氏のは東北弁の方言。

亡き父よ嘆かふなかれ孫も来れば御節に寿司ピザ加えて祝ふ 篠原克彦


作者の父からみて三世代の正月。伝統料理に慣れた人には違和感があるだろうが。


平成をキタサンブラック駆け抜けて命を繋ぐ種馬(しゅば)となるらし 吉川清子
都会から美味なるパンが送られて山のゆずジャムつけて食(は)む食む 草田礼子


「平成を駆け抜ける」「食む食む」がそれぞれおもしろいところだが、写実派だとこういうのは認めてもらえない。選んでもらえてよかった。
以上高野選。

朝日歌壇に友よ来たれと熱意込め短歌を詠みき老いし茂吉は 沼沢修


茂吉のこのエピソードは知らなかった。後で調べてみたい。

耳遠き母の耳にも届くらし白鳥の子の母を呼ぶ声 阿部芳夫


好きな歌。

くら谷へ地響き立てて傾れ落つ奈落の底に呻く雪魂 北條祐史


「傾れ」の読みは「なだれ」。「雪魂」は「せっこん」の読みで、梅の別称だが、ここでは「ゆきたま」と読むのだろうか。
人が巻き込まれていなくても、作者は暗い谷底に雪の魂の呻きを聞く。
以上馬場選。

当たり前のようだが、新聞歌壇は時期に即したものが多いのだとわかった。
当地でも先週大雪があったばかりだった。







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