朝日歌壇 未分類

朝日歌壇より2018年3月5日 「雪消え」に春の予感 石牟礼さん挽歌など

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こんにちは、まるです。急に暖かくなりましたね。
朝日歌壇には、まだ雪の文字は見られますが、「雪消え」「捨て雪」など、春の予感が見られます。
新聞歌壇は、季節感があってよいですね。

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今週の朝日歌壇 高野公彦選

廃屋の続く下北半島に雪の間(あはひ)の蕗の薹見つ 畠山時子

下北半島は本州の最北端になるのかな、青森県の北東部、右側の太平洋側にある半島です。震災の影響ではなくて、人口が減ってしまっているのでしょう。

事実だけを述た歌。どんなに寂れて、荒れたところにも春は来る。
「見つ」の「つ」は過去形。

相ともに握り合ひたる日もありし妻の両の手組み合はされつ 殿内英穂

別れの時が来た伴侶が目の前に横たわっている。短歌というのはこういう悲しい場面をも詠まなくてはならない。それだから、もっとも美しいものも歌の中にあります。
「生まれかへり歌は詠まめと言道(ことみち)も曙覧(あけみ)もいひぬかなしやも歌は」窪田空穂

雪の夜は冬の大三角の影まなうらにふかく宿してねむる 野見山弘子

大三角とは、「おおいぬ座星シリウス · こいぬ座星プロキオン · オリオン座星ベテルギウス. の3つを頂点とする三角形」のこと。
冬の夜空に星がくっきりと美しく見えます。それを眺めてから眠る。すてきなことです。


永田和宏選

組合で議論交わせし同期らが今経営を熱く語れり  小竹哲

感慨ふかくもおもしろい歌。「交わせし」は「交わしし」でしょうか。
語感を取って、あえてそうされる場合もあるのかもしれません。

春きみと駅の階段下りるときふうわり揺れるスカートを買う 岡田紀子

筆写していて、名前のところで気が付くところがありますが、この方は前にも入選されていますね。恋愛のすてきな歌が多い。
「春きみと」が簡潔。最後まで読んで「下りるとき」は現在ではなくて、近い未来のことだとわかる。「ふうわり」は今調べたら、辞書にもある言葉。
何かをしながら「春を待つ」という具体的なところがいいですね。

蛤の御門へ抜ける梅林の枝に揺れいる「饂飩あります」 四方護

蛤御門(はまぐりごもん)は、京都御苑にある門で、かつて「蛤御門の変」という殺傷事件があったところ。今はその影もなく、観光客向けの札が揺れている。長い時の流れと、のどかさとのコントラストがあります。
それ以上に、「ごもん」「ばいりん」「うどん」。それから「抜ける」「揺れいる」の末尾の音の連続。それから三句までの細かい語の刻みの後、4、5句のやや長い調べが、次第にのどかな雰囲気になっていく感じがあって、技巧的にも素晴らしいです。この場合ののどかさを醸し出しているのは、その配分なのですね。それが内容と一致するときに効果は最大限になる。それこそが「歌」だと思います。ただ、言葉を字数に合わせて並べたものとは違う。今回いちばん好きな歌。


馬場あき子選

不知火の海は水銀の毒に泣き石牟礼道子を失いて哭(な)く 山室咲子

私のいる派においては擬人法が使えないのですが、この歌はいいと思います。
水俣病について共感を持ち、世に広く知らしめることになった作家への挽歌。
佐々木選の最初は「きさらぎの十日夕刊一面で和服に笑ふ石牟礼道子」。


佐々木幸綱選

照らされて藪へすっ跳ぶ野兎のひるがえす胴のいたく痩せおり  阪上元

けもの除けの柵になどにライトが付くようになっていて、畑に入ろうとしていたウサギが逃げたというところ。
「すっとぶ」が日常語のようで面白い。その一瞬のウサギの観察に哀れに思う作者。それが歌になる。
その一首あとに「電線を伝はりて猿屋根へ跳ぶ雪の販社の光を過ぎり」もあるので、野生動物が見られるのも、この季節。

住職はむかし話の古寺に狸や鶉としずかに暮らす  阿部芳夫

「昔話の」のあとは「ような」が省略。こういう歌は案外めずらしい。狸が時折訪れる寺。鶉は飼っているものでしょうか。ほのぼのとして好きな歌。



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