朝日歌壇

朝日歌壇6月17日号 田植えの歌 アメフト悪質タックル問題

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こんにちは。まる @marutankaです。
ブログがリニューアルにつき、まだところどころ表示が落ち着きませんが、順次修正いたしておりますので、少しお待ちくださいね。

朝日新聞の朝日歌壇から好きな歌を筆写して感想を書いています。
朝日歌壇は朝刊日曜日に掲載。当記事は、6月17日の掲載分です。

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朝日歌壇とは

朝日歌壇についての説明です。
「朝日歌壇」とは朝日新聞朝刊の短歌投稿欄です。俳句は「朝日俳壇」です。
新聞の短歌投稿欄は、どの新聞においても、誰でも自由に投稿できます。

投稿方法の詳しいことは別記事
「朝日歌壇」とは何か?朝日歌壇の紹介と他の新聞の短歌投稿方法と応募の宛先住所」
をご覧ください。

佐々木幸綱選

田植えの前の田を詠んだもので始まる。

あす苗を植うるみず田はオレンジの月を落として鎮まりにけり  鬼形輝雄

田植えは大変な作業だと聞いているが、それを控えて見る前日の田の鎮まりというのがいい。「みず田」は「水田」だが平仮名とされている。「オレンジの月」がカタカナでもあり印象的だ。私なら「浮かべて」とするかもしれない。

 

 月を見て保育園から戻る児は昼間の月もじょうずに探す  大内せい子

大人は気がつかず、気にも留めない昼間の月も、子どもにとってはめずらしいものなのだろう。「じょうずに」が大人からの目線を伝えている。

 

高野公彦選

五月雨にインクのにじむこと勿(なか)れハガキに蝋(ろう)ぬり歌投函す  岩永知子

こういう配慮もあるんだなあと思う。「五月雨に」の初句が雨の様子を伝えている。雨で流れるほどではない。しっとりしめった葉書の上に、蝋を塗られてつややかな文字。万年筆での筆記も少なくなった。

 

雨のあさ脚をひきずる老犬に傘さしかけて歩む人あり  野田孝夫

老犬の散歩らしい情景はよく見かける。高齢化社会はペットも同様。飼い主にとっては大切なパートナーでもあり、自分の老いの兆しが、なおそうさせるのだろう。

 

永田和宏選

このごろは妻よりも吾に電話することが多くなりぬ就活の子は  田中浩一

日常の些細な事なら、お母さん。就職については、勤め人のお父さん。おのずと相談する相手が変わってくる。この場合のお父さんはそれがうれしくもあるのだろう。わが家でも憶えがある。

もう一度好きだと言ってくれないか裸足で海に駆け出すように  大下まゆみ

青春の歌。「海に駆け出したくなるのは」言った方よりも聞いた方かもしれない。みじんも暗さがない。
高齢者の歌も多いが、若い人の歌を詠めるのも新聞歌壇ならでは。

鴨川の三角デルタの飛び石をスニーカー脱ぎはしゃいで渡る  高野有

「スニーカー」が懐かしい響き。こちらも若い方の歌だろうが、「はしゃいで」の描写には、水遊びをするまでもない微妙な年代か。

馬場あき子選

帰省の子「矯正医官になる」と言う枇杷(びわ)剥(む)く吾は指止めて聞く  青垣進

矯正医官というのは、刑務所のお医者さん。剥いているのはお父さんの方か。一首は内容ではなく、ただ、親子のやり取りと心の動きを、「指止めて」の所作によってのみ伝える。「枇杷」と相まって、最後の「聞く」が豊かな受容を暗示している。内容も反応もあからさまでないところが良い。

緑陰に吠えるがごとく口開けし烏の喉(のど)の赤きにおびゆ  錦武志

美しさばかりを歌うのが歌ではない。感覚的で印象的な一首。「緑陰」と「赤」の対象。「吠えるがごとく」の大胆な比ゆ。「おびゆ」と言い切る。微細な一点に作者の心境の投影があるような気がする。

 

他にも、アメフト悪質タックル関連の歌が多く見られました。

監督の指示は法より強くありモザイクかかるオービー(O・B)が言う 池澤悦子
顔も名もさらし真実とつとつと明かすアメフト二十歳の良心 鬼形輝雄
特攻を思い出させるアメフトの二十歳の部員の静謐(せいひつ)な面 原田鶴子
たんたんと心の内を明かしたるアメフト選手の若さすがしき 菅谷修

 

それでは皆さまも今週も良い歌がたくさん生まれますように!







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