朝日歌壇

朝日歌壇より6月24日号 子と見詰める小さな生き物たち

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こんにちは。まる @marutankaです。
ブログがリニューアルにつき、まだところどころ表示が落ち着きませんが、順次修正いたしておりますので、少しお待ちくださいね。

朝日新聞の朝日歌壇から好きな歌を筆写して感想を書いています。
朝日歌壇は朝刊日曜日に掲載。当記事は、6月24日の掲載分です。

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朝日歌壇とは

朝日歌壇についての説明です。
「朝日歌壇」とは朝日新聞朝刊の短歌投稿欄です。俳句は「朝日俳壇」です。
新聞の短歌投稿欄は、どの新聞においても、誰でも自由に投稿できます。

投稿方法の詳しいことは別記事
「朝日歌壇」とは何か?朝日歌壇の紹介と他の新聞の短歌投稿方法と応募の宛先住所」
をご覧ください。

高野公彦選

 

山畑に夏鶯と郭公の声聴く至福農なればこそ  山口恒雄

どうして鳥の声というのは、ものを感じさせるものなのだろうか。この作者の場合は、さらに「農なればこそ」なのである。山畑と鳥の声と農とで作者の気持ちがすがすがしくも表されている。
なお、「夏鶯」という言葉を初めて知った。ただのウグイスだと、早春に限定されてしまうだろう。

 

おおまかで能天気なる妻がいて肉じゃがの味みくじのごとし  大川哲雄

結句「みくじのごとし」で思わず笑ってしまった。料理姪が「肉じゃが」であるのもよい。そのような奥様を愛しんで包み込むような歌だ。
なお、この上には「共白髪家事せぬ夫(つれ)を持てあまし少し遠くへ日帰り家出 永井祝子」というのもあった。高齢の夫婦であっても、互いが題材になるのはうらやましいというべきだろう。

 

公園の草分けて立つデゴイチはさびしすぎるよ帰りたからむ  沓掛喜久男

幼い頃に何度か見たことがあるが、楽しいもの、珍しいものとしか思っておらず、このような感じ方がとても新鮮に思う。「さびしすぎるよ」は作者の主観であって、「帰りたからむ」は擬人化したデゴイチの気持ちの推察になるのだろう。

また「さびしすぎるよ」の口語、「帰りたからむ」の文語の対照もある。様々な言語レベルの混在はは 現代の短歌の特徴でもあると、大辻さんが「短歌時評」で言っていた。

この作者の歌は、別な選者がもう一首選んでいるのだが、いずれも興味深い作品だ。

 

永田和宏選

禁じられ百日たちぬ自らは下戸なる医師に会ひたる不幸  沓掛喜久男

作者は酒好きで、主治医は下戸。なので、いとも簡単に「禁酒」を言い渡しては涼しい顔だが、こちらにとっては一大事。ということをユーモラスに「不幸」と言っている可笑しみがある。上のデゴイチと同じ作者。

 

肩書きのどれもがとれてふるさとの沼のひとりの鮒(ふな)釣りとなる  阿部芳夫

定年後に釣にいそしむ作者。「どれもがとれて」に、ひとつずつラベルがはがされていくような実感がある。2句から3句にいたる「ふるさとの」の転換。これは場所の転換でもある。

「沼のひとりの」のつなぎ方もすばらしい。「ふるさと」「ひとり」「ふな」のハ行音の韻。
さらに結句の「となる」に、時間の経過があり、境遇の変化に次第になじんでいく作者の心境でもあるのだろう。「定年」などという興ざめな漢語もなく、平易にやわらかく現在の安逸を伝えている。

私自身は定年とは縁がないのだが、とても好きな歌だ。共選。

 

馬場あき子選

うすい皮をつけてあらわれしカナヘビをわが子と見たり六月の朝  小室寿子

「わが子と」はもちろん「子どもと一緒に」の意味なのだが、私は「一瞬これがわが子か」と思って蛇を見た、と勘違いしてしまった。
原作とは関係がない話だが、短歌を見ていると、そのような自分の逸脱にも、やはり自分の今の生活の反映があると気が付くことがある。

 

佐佐木幸綱選

入り船か出船か野太い汽笛鳴る港に近いわが家の目覚め 富田光子

入船は港に入ってくる舟、出船はその逆。港近くに暮らして、それが目覚ましになっている。私も思い出すと懐かしい。

 

フクシマの線量高き山道を行けば躑躅(つつじ)の鮮やかに咲く 櫻井隆繁

被災地を詠った歌は多くあるが、好きな歌。4句「行けば躑躅の」で4文字目に躑躅がくるのと、躑躅が4句の1文字目から、たとえば「山道に躑躅の花の鮮やかに咲く」とした場合と比べると、句またがりに近い効果がある。
「つつ」の音が句の頭に来るよりも、角がなく滑らかに調子が保たれている。

 

「雀の子生まれてるよ」と軒下を指す幼子の耳聡きかな  荻原葉月

大人には気が付かないが子どもは、耳聡く子雀の声を聴き留める。子どもに教えられることの新鮮さ。

 

まとめ

今号は季節を反映してか、すがすがしい歌が多かったですね。参考にしながら、自分も詠んでいきたいと思います。

それでは皆さまも今週も良い歌がたくさん生まれますように!

 







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