こんにちは。まる @marutankaです。
朝日新聞の朝日歌壇から好きな歌を筆写して感想を書いています。
朝日歌壇は朝刊日曜日に掲載。当記事は、7月15日の掲載分です。
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朝日歌壇とは
朝日歌壇についての説明です。
「朝日歌壇」とは朝日新聞朝刊の短歌投稿欄です。俳句は「朝日俳壇」です。
新聞の短歌投稿欄は、どの新聞においても、誰でも自由に投稿できます。投稿方法の詳しいことは別記事
「朝日歌壇」とは何か?朝日歌壇の紹介と他の新聞の短歌投稿方法と応募の宛先住所」
をご覧ください。
佐佐木幸綱選
屋久島に生くと決めし息子(こ)赤子抱き妻と並びて岸壁で手振る(市川市)成相真理子
離島に移住することを決めた息子一家との別れの時。親にはさまざまな思いがあっただろうが、じっと見送る。
梅雨晴れの空に夕雲うきたちてエレベーターがふんわり止まる(東京都)青木公正
今号いちばん好きな歌。ガラス張りのエレベーターで外が見えるものに載っている時の眺め。エレベータが雲に近づくかのような高さに止まるとき、歌が生まれた。
高野公彦選
恋すてふ乙女(をとめ)のすなるダイエット健診のため夫もするなり(兵庫県)高垣裕子
古典では「日記」だったが、今はダイエットを男性もする。健診のためというのは、メタボ健診のことだろう。
山寺に吹奏楽部合宿しパーカッションに木魚混じれる(朝霞市)青垣進
證誠寺を思わせるような寺。狸ではなくて、学生が集まって様々な音を奏でるお祭りのような夜。
永田和宏選
一斉に地震速報鳴り出してスマホない人ある人を見る(東久留米市)白井澄江
街角で見られそうな光景。私自身もスマホを持っていないので、思わず注視するかもしれない。
原発に異常は無いとテロップが繰り返し出る地震速報(川崎市)小島敦
地震よりもそちらへの不安の方が強い。ところによっては津波も入るだろうか。
晴れし日の紫陽花(あぢさゐ)の根元に潜む蝸牛(かたつむり)、おやっ「ゐ」の字に二匹(京都市)森谷弘志
散文に近い字余り。同じ作者の作品を前にも見た憶えがある。
馬場あき子選
数学の講義のあとに一人ゐて頬杖をつく女子留学生(東京都)斑山羊
留学生の孤独か。スナップのようなおもしろい視点の歌。
原発の破壊で家を追われしに今の気持を訊ねるテレビ(福岡市)渡邉健治
原発ばかりでなく、テレビでは今やよく出くわすシーン。見ている人は一層無残の感を強くする。共選。
若き日は吾子の椅子なりしわが膝の闇に射さるるヒアルロン酸(神奈川県)西沢三輪子
作者の膝が若く健康だったころに「椅子だった」ことを思い出す作者。膝をポイントにした回想がいい。
竹垣に挿されて地下足袋干されをり過疎の真昼は静かなりけり(富士吉田市)萱沼勝由
好きな歌。過疎の村の昼の静けさを表す事物を的確に選んでいる。斎藤茂吉にも多いモチーフだ。
まとめ
今回は一年分の選外作品から思わず笑ってしまう朝日歌壇「番外地」選外の「秀歌」をご紹介と併せて掲載しました。