朝日歌壇

朝日歌壇「番外地」選外の「秀歌」をご紹介

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朝日歌壇「番外地」とは、投稿歌の中で、選外ながら「秀歌」とされた歌を紹介するを年に1度設けられるコーナー

どんな歌が選ばれたのでしょう。早速見てみましょう。

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朝日歌壇「番外地」

入選はしなかったものの、選者たとがひそかに楽しんだ歌という「笑いの微風」という副題です。

高野公彦選

選んだのは高野公彦選者です。思ったよりたくさんです。
私のコメントも今回はラフに入れますね。

「好きだよ」と言えば婆(ばあ)さん額(ぬか)に手を当てて言いたり気は確かかと 石黒一也

長年連れ添った配偶者に言ってみたら、上記の反応。うーん、でもとてもいいことだと思うので、めげないで言い続けてほしい。
というか、これも相聞の一首とも言えるのではないでしょうか。冗談めかしていますが。

賞与出て妻は喜び店回り夫はこたつで丸まっている 石井真久良

うらやましい。奥さんはお幸せでもあり、作者も喜んでもらえて内心はうれしいのではないでしょうか。非正規雇用が多く、若い世代は共働きが当たり前になって「亭主元気で留守がいい」も死語となる今、懐かしい風景でもあります。

若い時小さな人に憧れてもらった妻の態度はでかい 木村義熙

小ぶりな奥方、従順だろうと思いきや、態度も、あるいは「実質」も大きくなってしまった。でもそれも幸せな証。

私達あんなに落ちることは無いオスプレイ見てミサゴが嘆く 小島敦

オスプレイは日本語で「ミサゴ」といい、鷹の仲間だそうだ。冗談でもでも結構難しい。

ルナールいま在りせば「蛇 長すぎる」の伝で追記せむ「森友 安すぎる」 森谷弘志

ルナールは『にんじん』の作者。森友学園の土地問題への皮肉ということだが、真面目に追及されていい問題。

 死語辞典繙(ひもと)きみれば「謙虚」あり「丁寧」「責任」「真摯(しんし)」もありぬ 千葉俊彦

一瞬、本当なのかと思ったが、もちろん架空の辞典だ。ちょっとほっとする。

「首相と同じ安倍ですか」と問ふ人に「安倍晴明の安倍です」と答ふ 安倍員子

「あべ」の漢字のことを考えたことがなかったが、「阿部」がもっとも多く、それでなくこちらと名指すには、著名人の名が挙げやすかったのだろう。そういえば、「角栄」も一時多い名前だったそうだと聞いたことがある。

長丁場テレビやきもきカーリングおやつタイムにこちらも食べる 間渕昭次

カーリングは、テンポのゆっくりしたゲームで、さらに長引くと手持ち無沙汰となり、選手に同調していると、おやつも一緒に食べたくなるのだろう。楽しいスポーツだ。

御神渡(おみわた)りゴキブリ出たと騒ぐ母そうではなくてそれは5季ぶり 吉水かをり

どういうことかというと、ゴキブリではなくて「5季ぶり」なのだそう。

入院に仏典買ひて退院に宝くじ買ふ吾に呆(あき)れる 小坂進

うーん、これはちょっと選に入れたいくらい。軽過ぎと言われそうだが、退院の時の気持ちがこんな感じだったのだろう。

背の低き事で得した事はなく葡萄狩(ぶどうがり)にはお誂(あつ)らへむき 長浜利子

葡萄を摘むには、丁度いいとのこと。長身の人は、ひとつひとつにかがまなくてはならないのだろう。

世の中にあまた問題あるけれど「セクハラ」「パワハラ」つぎ「ワレノハラ」 石田信二

笑ってしまうが、自分の言ばかりではなく、ちゃんと世相を詠み込んでいる。

選者とは酷な仕事よ幾万の淡き望みを摘み取る作業 安元文紀
投稿で貰(もら)ひし葉書十枚直(す)ぐになくなり又買ひに行く 笹倉童心

高野公彦選者は「内心スミマセン」と謝るそう。私は実は投稿したことがないのだが、選に入る歌だけが良い歌ではないと思うので、たゆまず詠み続けてほしい。

 

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