朝日歌壇

朝日歌壇より8月26日号 夏の暑さを詠もう

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こんにちは。まる @marutankaです。

朝日新聞の朝日歌壇から好きな歌を筆写して感想を書いています。
朝日歌壇は朝刊日曜日に掲載。当記事は、8月26日の掲載分です。

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朝日歌壇とは

朝日歌壇についての説明です。
「朝日歌壇」とは朝日新聞朝刊の短歌投稿欄です。俳句は「朝日俳壇」です。
新聞の短歌投稿欄は、どの新聞においても、誰でも自由に投稿できます。投稿方法の詳しいことは別記事
「朝日歌壇」とは何か?朝日歌壇の紹介と他の新聞の短歌投稿方法と応募の宛先住所」
をご覧ください。

 <永田和宏選>

二十歳から始めることとやめること考えている猫をなでつつ(富山市)松田梨子

若者が始めることはたくさんありそうだが、「やめること」というのが内省的でもあり、興味深い。
つまり「始めること」は未来であり、「やめること」は過去なのだろう。共選。

おおきくはしなくていいと祖父はいい父もまもったちいさな書店(東京都)高橋千絵

個人の書店の存続は、地方では大変難しく、まず残っているところはないと言えるくらい少ない。夫の実家が電気店でもあり、農家の人が土地を守るというのと同じように、「店を守る」ということが、どういうことか少なからずわかるようになった。

 <馬場あき子選>

夏草を刈り終え戻れば卓上に冷え冷えとして桃ひとつあり(安中市)鬼形輝雄

この「冷え冷え」というのは、快い冷たさのこと。果物は本来夏の日差しの下で育ったのだが、それが家の中で静かに卓にある。
草刈りをするときの灼熱の戸外から戻ってそれを見る感慨。

「やくそく」って素敵な響き白桃の優しさ晩柑(ばんかん)の爽やかさ(富山市)松田わこ

上句と下句に確たるつながりはないのだが、何となく、さわやかな歌。

子を産んだ二頭の雌牛死んだとふ猛暑の昼の農芸高校(東久留米市)関沢由紀子

「災害レベル」と報道された今年の暑さ。懸命に行使を産んだ母牛もかわいそうだった。

わが動き鈍くなりきて一日の時間は馬のごとくに走る(八王子市)原田なつ子

ううむ、なんだか日が短いなあと最近思っていたが、あるいはそう言うことだったのか、と思った。「馬のごとくに」がおもしろい。共選。

不知火(しらぬい)の消えては燃ゆる夜のうみ伴天連(ばてれん)ばやしを遠近に聞く(相模原市)松並善光

二句の明りの移ろいを表す句が良い。そして、お囃子の移ろいもまた。

枯草のようなカマキリの脱いだ皮カマキリの形して庭にあり(仙台市)小室寿子

蝉の抜け殻はよく見るものだが、蟷螂にもあるのか。うちの水槽ではエビが脱皮を繰り返しているが、ひげや足までそのままの形をしていて、見るたび不思議に思う。

 <佐佐木幸綱選>

プール底の白い格子がグニューッと凹(へこ)んで早く入れと誘う(稲沢市)山田真人

年少者が詠んだものか。あの歪みを表すのは難しそうだが、うまく表している。

山火事に紅く染まれる夏の月遮(さえぎ)りつつ飛ぶ機体の轟音(ごうおん)(アメリカ)中條喜美子

日本では見られないような雄大な景観だ。

誕生日、最終電車を見送って乗り換え駅と気付く40(北九州市)網本真由子

誕生日に起こることはいつも特別なことに思える。

うつし世の不思議を考えていたらテレビに山本リンダが映る(広島市)角田由美子

「うつし世」と風俗的な対比が面白い。

 <高野公彦選>

ともだちにひとはだぬぐよりだいしきゅうちさんちすいにやよとりかかれ(大分市)岩永知子

上句は、ボランティアのことか。アメリカ軍の「ともだち作戦」というのがあった。それ以上に、根本的な解決を目指して欲しい。
肉声を伝える科のような平仮名。「やよ」は掛け声。口語ではないが、口語的な歌。

漆黒のレコード百枚処分して再びあなたを喪(うしな)ひにけり(宝塚市)櫂裕子

故人が所有していたレコードだったのだろう。レコードの百枚はかなり嵩があるので、思い切ったのだろうが、やはり寂しい。
空いたスペースには故人のの喜ぶものを飾られたい。

双眼鏡持つ手の小指二本立て火星をのぞく地球人なる妻(吹田市)鈴木基充

「宇宙人」との対比なのだろうが、やや離れてみる配偶者は新しい感興を与えるものなのだろう。

写生する生徒ら包み戸隠(とがくし)の大杉の陰ゆつたりとあり(熊谷市)内野修

どこか昭和のようななつかしい風景。真夏には大きな木はありがたい。

私にもまだ新しいものがあると真白き歌稿ノートを開く(観音寺市)篠原俊則

年を経ると、家の中に古いものばかりたまっていく。時折は新調せねば。新しいノートなら、また新しい歌が詠めそうだ。

まとめ

今号は夏とその暑さを表したものが見られました。毎日「暑い暑い」とだけ過ごしていないで、そこからまた題材を見つけねば。

皆様もお体大切にお過ごしください。

 

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