朝日歌壇

朝日歌壇9月2日号 ふるさとの夏を詠む短歌 翁長知事追悼歌

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こんにちは。まる @marutankaです。

朝日新聞の朝日歌壇から好きな歌を筆写して感想を書いています。
朝日歌壇は朝刊日曜日に掲載。当記事は、9月2日の掲載分です。

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朝日歌壇とは

朝日歌壇についての説明です。
「朝日歌壇」とは朝日新聞朝刊の短歌投稿欄です。俳句は「朝日俳壇」です。
新聞の短歌投稿欄は、どの新聞においても、誰でも自由に投稿できます。投稿方法の詳しいことは別記事
「朝日歌壇」とは何か?朝日歌壇の紹介と他の新聞の短歌投稿方法と応募の宛先住所」
をご覧ください。

<馬場あき子選>

待ち合わせする人のそば待ち合わせしているふりする噴水のそば(館林市)阿部芳夫

人を待つ人がふとうらやましくなり、自分もそれになってみる、というその若さ。
人を待つ心の華やぎへの憶測が隠れている。共選。

二年ぶりくるこの駅も無人駅改札口にトンボ迎えぬ(静岡市)篠原三郎

いつの間にか駅が無人駅になっていて、トンボがいるだけ。
さびしいけれども、どこかさわやかな歌。

四世代同居の賑わい思い出(い)ず蝉(せみ)しぐれふるふる里の家(仙台市)沼沢修

私にとっても夏になると必ず回想されるのが、かつての家族の集う様だ。他にも同じ思いの人がいるのだな。

父に似る案山子(かかし)がひねもす菅笠に鳩を遊ばせ山畑に立つ(大館市)小林鐐悦

初句と4句が良い。景色が目に浮かぶ素敵な歌だ。共選。

いっぱいに手足伸ばして枝となる幹を離れてきみはナナフシ(吹田市)谷村修三

木についている時は枝、離れていれば昆虫。おもしろい虫だ。
気がつかない時はそこにはいない。あるいは、いつもいても気がつかないのかもしれない。

<佐佐木幸綱選>

猪(い)と鹿の増えきて柵を巡らせり狭霧に浮かぶ我が一軒家(伊賀市)菅山勇二

なんとも素敵なたたずまいのお宅。4句の「狭霧に浮かぶ」が秀逸。

君と来し井の頭池ルージュひく方が雌だとカワセミを言ふ(東京都)宮田義昭

「雄は黒いが雌は下のクチバシが赤い」(選者評)とのこと。人間の一対になぞらえての説明。隣の君もまた。

外国(とつくに)の客ににぎわう最上川四ケ国語の舟唄ひびく(仙台市)沼沢修

最近日本の観光地はどこへいっても外国からの観光客が多い。迎える方も工夫を凝らしておもてなしをする。
都心の駅で複数の言語の看板も当たり前になったが、大都市ならともかく、最上川に4か国語とは。やがては客だけでなく、住民ともなって日本中が外国化していくのだろうか。

 <高野公彦選>

父の忌の八月四日食を断ち戦死の父に一日寄り添ふ(茨木市)窪田宣子

いまでもそうするご家族がいるということに、深く胸打たれる。

ミンドロ島南方山中水くれと叫ぶ俘虜記を閉じてエビアンを買う(京都市)長谷川恵子

字余りの歌。「ミンドロ」と「エビアン」のカタカナの対比。

アルバムの写真をスマホに移したりホームに入るその日のために(秩父市)高橋秀文

ああ、そういうこともあるのだなと思う。

サマータイムの是々非々語り合ふうちに仲良き夫婦諍(いさか)ひ始む(横浜市)山本雅子

映画のワンシーンのようでおもしろい。

<永田和宏選>

「ちょっと火を」知らぬどうしが顔寄せて「失敬」と去る昭和の煙草(八尾市)吉谷往久

そんな時代があったのだなあ。太宰治の短編には「火を貸したタバコなどくれてやる」とばかりに、道に捨てた相手の憎らしいまでの小粋な様を描写した箇所があった。

生きてたらきっと今頃大げんかエアコン嫌いの頑固なあなたと(京田辺市)藤田佳予子

エアコンが欠かせない現代の暮らしと、あなたへの追憶がミックスされている。

同窓会やはりあなたは来ないのか来てもなんにも言わないけどね(枚方市)東大路エリカ

口語交じりの歌。案外これも、現代の万葉集なのではないか。「何かを言わんわれならなくに」のような。
時を経ての微妙な心境の恋心が表現されている。

首手足を切断されし胴体に目立つ外傷は無い、という記事(近江八幡市)寺下吉則

考えようによっては怖い。奇妙にインパクトのある歌。

翁長知事の歌

翁長知事の急逝を悼む歌をまとめておきます。

沖縄にすべてを捧げ身を削り痩せ衰へて知事逝きましぬ(入間市)有賀政夫
辺野古への果たせぬ想ひ抱へつつ旅立つ知事の無念晴らせよ(東京都)近藤千恵子
いつまでも本土の捨て石ではならぬ気骨示して翁長氏逝きぬ(三原市)岡田独甫
生前の交流あれば悲しみにゴルバチョフ氏は知事を悼みぬ(町田市)高梨守道
翁長さん逝くとうテロップ流れれば娯楽番組ニュースに変える(銚子市)小山年男
平成の最後の夏を選びしか八月八日翁長知事死す(横浜市)滝妙子
「わたしたち」と言ふ時そこに沖縄を含めていたか翁長知事逝く(神戸市)田中陽子
辺野古「NO!」ボード掲ぐる七万に翁長雄志は「帽子」を遺す(東京都)荒井整
「翁長さんがんばつたね」と文太さん基地なき島へ想ひのこして(高松市)島田章平

 

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