朝日歌壇

メダカ,葱,泡立草,鹿,ツグミ,熊の秋の動植物 朝日歌壇11月25日号

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こんにちは。まる @marutankaです。
朝日新聞の朝日歌壇から好きな歌を筆写して感想を書いています。朝日歌壇は朝刊日曜日に掲載。この記事は11月25日の掲載分です。

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朝日歌壇とは

朝日歌壇についての説明です。
「朝日歌壇」とは朝日新聞朝刊の短歌投稿欄です。俳句は「朝日俳壇」です。
新聞の短歌投稿欄は、どの新聞においても、誰でも自由に投稿できます。投稿方法の詳しいことは別記事
「朝日歌壇」とは何か?朝日歌壇の紹介と他の新聞の短歌投稿方法と応募の宛先住所」
をご覧ください。

馬場あき子選

天平の古文書のなかありありと難き生活(たつき)の借用書あり 大野美恵子

そんなにも古い時代にも、生活に困るということがあり、借用書なるものまで存在するという感慨。おもしろい事実がそのまま歌になる。

あけび四つあれども無心に果汁吸ふアサギマダラに譲りて採らず 大村森美

これまでにも見られるアサギマダラの歌だが、結句「譲りて採らず」が良い。作者の気持ちと行動を簡潔な言葉で過不足なくきちっと伝えている。

卵から孵ったメダカが一つゐてはじめての秋を過ごしてをりぬ  三角清造

上句は、人から見た状況だが、「初めての秋」はメダカの身になって言っているものの、実はメダカの実感ではない。
うちでもメダカを飼っているのでおもしろく読める。こういう風には案外思いつかない。

逆白波の歌碑にさす陽のしずかにてやがて雪来ん最上川べに  沼沢修

茂吉の有名な歌碑を詠んだ歌。雪はまだない季節なのだが、それを先取りして歌に入れたのが良い。

細かりし葱を太らす霜月の夜に入りてもあたたかき雨  山本寒吉

ネギは寒さが増すにしたがって柔らかく甘く育っていくのだろう。二句目までは、「雨」にかかる形容詞節。

通りゆく小学生より背が高い泡立草はもう日本の花  小室安弘

黄色の花穂を揺らす背高泡立草は、帰化植物だったか、元々日本のものではないのだそうだ。すっかり日本の景色に溶け込んだ一方、繁殖し過ぎて困った面もあるようだ。

佐々木幸綱選

奥山の切りひらかれて里人は鹿の声する夜に慣れゆく  こやまはつみ

山の気が伐採されて狭くなると、山の動物と遭遇する機会が多くなっていく。動物には住みづらい世になってしまったし、人との距離が近すぎると問題も現れる。最近はほぼ毎号に近くこういった歌を見るようになった。

秋の空選定された樫の木にわが巣いづことツグミ飛び来る  三井正夫

樫の枝が切り落とされてしまって、これまで巣をつくっていた鳥の場所がなくなってしまったことを作者が思いやって眺めている様子。初句は、下から眺めている視点を示すだろう。

黄葉の峡曲がりゆく米坂線熊よけ汽笛を鳴らして進む  緑川智

読みは「もみじばのたに…」。列車が汽笛を鳴らすのは、人ならぬ熊よけのためだという。なんともほのぼのとした列車の走る様子が目に浮かぶ

高野公彦選

サーモンの切り身ににじむ回遊の冬の記憶の海のオーロラ  堂本明代

油の多い魚の切り身が虹色のように光って見えるものがあり、それを上のように表している。今号の好きな歌。

腹いっぺまんまけってな絶食の兄のひつぎにおにぎりみっつ  藤原留理子

食を立ったまま亡くなった兄君。その棺におにぎりを持たせるように入れてやる。上句は方言で語りかける。切ない歌だ。

ぬばたまの闇また闇の山間(やまあい)に一夜ともせり夜神楽舞台  菊山正史

二句までで場所の様子を示していて、その山の深さが「一夜ともせり」と生かしている。「ともせり」は「灯す」。

手を抜けば野に呑まれゆく畑なりもうしばらくは畑にしておく  阿部芳夫

平易な言葉で農地の様子を表す。「呑む」の漢字が良い。「もうしばらくは」も切ないところだ。頑張って守ってほしい。

永田和宏選

がん患者われにつきたるラベルなりはがせるものならはがして生きたい  宮澤明

私も同じ既往歴があるのだが、確かにそう思うことも多い。しかし、忘れていることの方が圧倒的に多い。そのように日々を送ることが良いだろう。病気以外に目標を持ち、楽しいこと、自分にとって大切な、意味のあることをすればよいと思う。

この娘(こ)なら出世出世と言わぬじゃろ義母がわたしを認めた基準  伊達裕子

息子の配偶者を見るときに、こういう基準を持っていた母上。上句はその心境を代弁した方言となっている。めずらしいと同時に、終身雇用制が崩れた今の世にも、まだこういう考えがあるのかなとも思う。

一晩でカボチャも魔女も消え失せてクリスマス仕様の街となる  池田典恵

季節の移り変わりを、自然ではない風景に見ることもできる。それにしても、人の能動的な季節の模様替えの何と素早くめまぐるしいことか。

まとめ

今号は動物や植物を詠んだ歌が多く、おもしろい歌が多かったです。急速に寒くなってしまい、風景も晩秋から冬へ留め難く変わっていくのでしょう。一昨日は満月で藤原道長 この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば の歌を口ずさんだ人が多かったのではないでしょうか。ではまた来週。

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