朝日歌壇

秋空、冬花壇、軍艦島、朝日歌壇12月2日号

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こんにちは。まる @marutankaです。
朝日新聞の朝日歌壇から好きな歌を筆写して感想を書いています。朝日歌壇は朝刊日曜日に掲載。この記事は12月2日の掲載分です。

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朝日歌壇とは

朝日歌壇についての説明です。
「朝日歌壇」とは朝日新聞朝刊の短歌投稿欄です。俳句は「朝日俳壇」です。
新聞の短歌投稿欄は、どの新聞においても、誰でも自由に投稿できます。投稿方法の詳しいことは別記事
「朝日歌壇」とは何か?朝日歌壇の紹介と他の新聞の短歌投稿方法と応募の宛先住所」
をご覧ください。

佐々木幸綱選

三十年お世話になりし歯医者さん素顔は知らずマスク顔知る  秋岡実

30年も通っているのに、顔を知っているような知らないような。人とのかかわりというのは、案外部分的なものなのだと気づく。

猫の場所サボテンの場所われの場所それぞれまるく日の溜まる場所  千葉俊彦

実際に丸い形に日があたっているわけではないのだが、三者それぞれにスポットライトが当たっているかのような不思議な表現だ。

高野公彦選

絵馬堂で個人情報書きすぎているよ必死の親心なり  中村玲子

この後の時期からは受験シーズンとなって、絵馬にも真剣なものがある。学校名や名前を並置すると、誰だか特定できてしまうことがある。親心はわかるが気をつけて。

十余本の管に繋がるわれの身は麻酔の闇の難破船なり  狩集祥子

手術後の自身の様子を詠んだもの。朦朧とする意識が「難破船」と表現される。「つながれる」の文語なら「つながるる」となるが、「繋がる」もある。

「冷たい」と言われぬためにするようで母の墓参も父の見舞いも  高橋みどり

両親への義務感の微妙な気持ち。実際長寿社会となって、子どもも老いての準老々介護はこれからも問題となるだろう。

バカみたく赤字の店を続けてる認知症予防の助けになるか  長浜寿一

こちらも微妙な心境。卑下の気持ちも、下句ではひるがえって思い直される。個人的には、生きがいがあるから人は生き生きする。赤字にも計れない部分があると思う。

種播きしめじるしに挿す種袋冬の花壇を花盛りにせり  若島安子

好きな歌。袋に入った種をまき終えて、ここに何をまいたかわかるように袋を土に差しておくというもの。袋には、花の写真がプリントされている。実際に咲いているわけではないのだが、作者には、その花に埋め尽くされる、春の花壇が目に見えるのだろう。それを「花盛りにせり」と結句で言い切る。また、主語を種袋に置く使役動詞という点にも注目したい。

永田和宏選

ぽっかりと空いた時間は海沿いの駅のホームのベンチで本読む 小林冬海

映画のワンシーンのようだ。

虐待に命奪われし幼子の胸腺はみな委縮するとう  篠原俊則

そう聞いて作者は驚いたのだろうが、養護施設などで育った子どもと、ストレスなく一般家庭で育った子どもを比べると、食物屋世話などの条件は同じでも、前者は身長が伸びないという研究がある。最近では、脳も委縮するという報告もあって、「愛情」が実質的にも必要だということが知られている。これは、おそらく子どもばかりではないのだろう。

秋夕日軍艦島に建つビルの窓々に灯を点して沈む  牧野弘志

この島の建物には明かりがともることはないのだが、夕日が人が住んでいるかのような温かさを添えてくれる。その作者の見方が素晴らしい。
主語は初句の「秋冬日」で結句の「沈む」が動詞だが、語の距離感が秋の日差しの長さと沈むまでの時間経過を表すかのようだ。「軍艦島に建つビルの」は窓にかかる形容詞句、次いで「窓々」が4句の初めでクローズアップされている。各語の配置も良い。

ビルとビルのはざまに伸びる秋空をのんびりわたりゆく羊雲  垣野俊一郎

この、のんびり感「羊雲」でなくてはいけないなあ。下句は句またがりで、俵万智さんが好んで使った技法でもあるが、これも「ビルとビル」の間を文字通り、「わた」る感がある。

馬場あき子選

ラーゲルの壁に刻みし母の名はペチカにいぶされ今も残れるか  鈴木七郎

ラーゲルは、旧ソ連の強制収容所。作者はシベリア抑留の経験がある方だろう。その壁にある日母上の名前を刻んだという。帰ってこられて本当に良かったが、遠いその地にあって日本を思ったことを、今では逆に思いを馳せられるようになった。

罠にかかる一羽のために集まりしカラスの大群烏合(うごう)にあらず  斎藤哲哉

「烏合の衆」という言葉は「規律も統一もなく寄り集まっている群集」の意味。罠にかかったカラスの周りに、集まる鳥たちを見た作者の弁にやさしいまなざしがうかがえる。

まとめ

今号もすてきな歌に勉強させられました。
朝日歌壇のコラム「うたをよむ」には「すずめ」の歌人藤島秀憲さんがご担当。後ほど「省略」の技法についてお届けしたいと思います。

藤島さんの短歌とその記事はこちらです。

関連記事:
介護の短歌 藤島秀憲『すずめ』息子が一人で父を看取るまで 

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