朝日歌壇

朝日歌壇2月3日号 雪,白鳥の渡り,水仙,多喜二忌

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こんにちは。まる @marutankaです。
朝日新聞の朝日歌壇から好きな歌を筆写して感想を書いています。朝日歌壇は日曜日朝刊に掲載。
この記事は2月3日の掲載分です。

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朝日歌壇とは

朝日歌壇についての説明です。
「朝日歌壇」とは朝日新聞朝刊の短歌投稿欄です。俳句は「朝日俳壇」です。
新聞の短歌投稿欄は、どの新聞においても、誰でも自由に投稿できます。投稿方法の詳しいことは別記事、
「朝日歌壇」とは何か?朝日歌壇の紹介と他の新聞の短歌投稿方法と応募の宛先住所」
をご覧ください。

佐々木幸綱選

闘牛の正月場所を観る寒さ押しあう二頭背(せな)に湯気立つ  立花悟

宇和島の闘牛と評にある。上句の「寒さ」が湯気を引き起こしている因果関係は示されている。上句と下句が同じ事柄を指し示すのにブレがないと一首にくっきり芯が通ったようになる。

背に光負うて立ちたる我が影は霧に移りて山に真向かう せきあい子

ブロッケン現象というのだそうだ。「めずらしい一首」と評にある。

雪はれて白鳥渡る声きけば雪掻く誰も急ぎ空見る  小矢みゆき 

作者は帯広市の方。毎年見慣れた光景ではあるのだが、やはり誰もが白鳥の渡りを見上げるのだと知った。

白波の運ぶ光を昇らせて水仙咲けるふるさとの丘  岩元秀人

素直で静かな歌。

佐々木幸綱選

コンビニの駐車場まで運ばれて越後の雪は日光を浴ぶ  中村幸生

雪下ろしで集められた雪が、出入りの客の妨げにならないように、車場に運ばれる。理解はできても、雪国に暮らした人でなければ、この雪の多さはわかるまいと思う。

弟と息子ら男一家にて弟の靴最も小さし  檜山佳与子

弟とは作者の弟で、その息子、作者からは甥たちだが、それと比べると、彼らの父である弟が一番小さい靴を履いている。甥たちの成長と姉弟の時間が感じられる。

高野公彦選

ようやくに光の瓔珞(ようらく)はずされて街路樹たちにやすらかなよる  小島文

このような見方があるのかと感心する。

瓔珞とは、宝石などを連ねて編み、仏像の頭・首・胸などにかけた飾りのことで、仏教のことば。

新しき白樺石鹸泡立ててわが元朝の小さき儀式  美原凍子

元朝とは元旦の朝のことか。新しい服を着るというのはよく聞くが、この作者は新しい石鹸を使う倣いなのだ。

わが娘の嫁ぐときにと眠らせしワインをあける菜の花の夜 大川哲雄

今号の好きな歌。いつの日にか、という父の心遣い。ワインが「眠る」なら、その期間は短くはなさそうだ。それだけに、思いが胸に迫るのだろう。

永田和宏選

日曜の朝はアナログテレビの前兼高かおると世界を巡りき  四方護

二句が良い。よくテレビの違いに気がつかれるものだ。そう、今のようなデジタルハイビジョンではなかった。そして、それだけに世界は遠かった時の、兼高さんなのである。

近すぎず離れず妻とも車間距離無事故のまんまほぼ半世紀 石田貴澄

おもしろい歌。年中接触事故よりは良いのかもしれないが、夫婦ともども穏やかで淡い方々なのだろう。悪いことではない。

半間のガラス戸開けて客を待つ三月書房に真冬の日射し 佐竹由利子

固有名詞に寄りかかってはダメだと指導を受けたことが自分にはあるが、「三月書房」が何とも良い。半間の戸というのは、ほんとうに古い本屋なのだろう。作者は西宮市。懐かしい。

馬場あき子選

ベルリンの壁崩壊が平成の始まり終わりはトランプの壁  島田章平

おもしろい思いつきだ。記憶力が良くないとこのような歌は詠めない。

旅立ちの着物を縫つてと吾に言ひし義父の迎へる百歳の春  杉野順子

「旅立ちの着物を縫って」というのは、父の言ったこと。80歳か90くらいなら「お父さん、まだまだそんなこと言わないで」と言えるが、百歳か。どうせなら百歳を祝う着物を縫って差し上げたい。

脚弱き人の降りるを見届けてバスはゆるりと動き始める 萩原葉月

やさしい歌。高齢者が多くなって、乗降には配慮が必要になった。

多喜二忌の二月を厭ひかなしみて八十七まで生きし母セキ  酒井忠正

息子が死んだあとの人生は、母にはさぞ長かったろう。多喜二は29歳で亡くなっている。

 

今号もたくさんの風物詩を楽しく拝見しました。

インフルエンザが流行しています。皆さまお気をつけて作歌にお励みください。

 

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