朝日歌壇

朝日歌壇2月10日号 稀勢の里引退、最後の天覧試合

更新日:

こんにちは。まる @marutankaです。
朝日新聞の朝日歌壇から好きな歌を筆写して感想を書いています。朝日歌壇は日曜日朝刊に掲載。
この記事は2月3日の掲載分です。

スポンサーリンク



朝日歌壇とは

朝日歌壇についての説明です。
「朝日歌壇」とは朝日新聞朝刊の短歌投稿欄です。俳句は「朝日俳壇」です。
新聞の短歌投稿欄は、どの新聞においても、誰でも自由に投稿できます。投稿方法の詳しいことは別記事、
「朝日歌壇」とは何か?朝日歌壇の紹介と他の新聞の短歌投稿方法と応募の宛先住所」
をご覧ください。

高野公彦選

テレビから日本中のため息が吹き出る稀勢の里転がれば 磯前睦子

稀勢の里白星の日の夕ご飯美味しかったよどうもありがとう 鈴木節子

引退をした稀勢の里を歌った二首。
「吹き出る」に臨場感がある。皆がそのように応援していた幸せな力士。
二首目は何とも温かい。

宿題の音読聞きし妻の耳けふは挙式の謝辞を聴きをり 村上敏行

結婚式を迎えた子の成長を顧みる。主語を妻として、母子の情景として描いたのがポイント。

結婚を反対してた母なのに黙って呉れた料理本二冊 岡山礼子

こちらも母の思いやりを表したもの。反対か賛成かはまた別の、娘を思いやる母の心が伝わる。

真冬日のカレーうどんは獄食のベストスリーに入れるほかなし   十亀弘史

服役中の作者。「ほかなし」という消極的な句が特殊な状況を表しているだろう。

トキのためキロ一円の寄付となる佐渡コシヒカリを研ぐはうれしき 松本知子

ふるさと納税の歌か。こういう理由で納税先を選ぶ人がいるということが興味深い。

また一つ語彙の増えゆく子を抱きて雪の降る夜にペチカを歌ふ 鈴木正芳

物語のような情景の下の句だが、上の句には しっかりした観察がある。

墓守る人去りゆきて過疎の地の墓は狸と鴉が守る 田中正和

長崎市の作者。町に住んでいれば思い浮かべるしかないが、過疎の町、それも墓ともなれば、この通りの情景なのだろう。

理由なく存在を確かめるように泣くこともある赤子を見て知る 上田結香

赤ちゃんを見ての哲学的な考察。四句切れの歌で、結句の主語が作者。

永田和宏選

病院より戻った父の手を握る冷めゆく熱の冷めきるまでは 清水君平

病院で亡くなった父上を家に連れ帰った時の歌だろうか。
あるいは、連れ帰って、冷たくなるまでが、この作者にとっての「最後の時」になるのかもしれない。

車内にて人身事故による遅延聞いて怒られる淋しい俺だ  加藤正文

前にも本欄に人身事故の歌があったが、反応が様々で面白い。
事故ならともかく、本来、電車はそれを使って人が死ぬ道具ではないので、そう思うのも致し方ないだろう。さびしがらないで。

ひっそりと群がつて咲く枇杷の花さびしい日には雑踏を行く  萩原葉月

上の句と下の句の対比。枇杷の花がどんなだったか、思い出そうとしてみる。

色あせた父出征の写真にはわれの他みな亡き人並ぶ  鈴木一成

年齢を重ねると、こういうこともあるのだ。まだ経験したことのない寂しさというものが、世の中にはあるものだ。

アララギ派では、かつて「さびし」は流行語であって、斎藤茂吉が、皆でそれを研究したと言っていたことがあった。

ひるすぎの郵便局しづか女子局員ひとり海を見てゐる  篠原克彦

これも物語の中のような情景の歌。 どこか本の挿絵のような趣がある。

馬場あき子選

退位近き天皇何度も手を振りて退席しゆく天覧相撲  岡田独甫

最後の試合。今年は「平成最後」というコピーを至るところで見かける。
陛下と民とが一緒に観戦できたということを思えば感慨深い。力士も良いところを見せようという気概が減りそうだ。

店員は見分ける術持ちスパシーバ・サンキュー・メルシー笑顔でパン売る  磯前睦子

細かくも気が付いた旅行詠。単一民族の国に住んでいる我々には分からないが、多民族国家の国に育った人には見分けがつくものなのだろう。 特に考えずとも、自然に相手に合った言葉が出てくるに違いない。

佐々木幸綱選

人づてに聞きつつ悔し寒空を下着姿の友の徘徊 大野紀代

高齢化社会になると、親のところを尋ねるとこのような話題が常に聞かれる。自分のではなく人の老いを主題にするのは、案外珍しい。
友との親しさが「悔し」を呼ぶ。気持ちが強ければこそ成り立つ一首。

ご近所の車が戻ればより温いエンジンに移り夜明けを待つ猫 上田結香

よく見かける光景だが、巷の猫の行動を掴んでいて面白い。これだと都会の猫は、大抵いつも暖かい車のもとに居ることになる。

猪肉をあげたる返しの白魚をおすそ分けしてみかんを貰う  額賀旭

イノシシの肉が最後にみかんに変わるまで。 愉快なだけでなく、猪肉の変遷がわかるよう、簡潔に上手にまとまっている。

終りに

今号も、時事的なものと、個人的なもの、両方に、良い作品、豊かなお歌を拝見できました。

今日は行きが晴れました。皆さま、引き続き寒さにお気をつけて作歌にお励みください。

 

関連記事:
NHKBSで放送された、永田和宏氏監修の「平成万葉集」の歌をまとめました。
『平成万葉集』全短歌作品 平成に詠まれた短歌からNHKBS1月2日放送分

大人気のハイクラスのボールペン

 





tankakanren

-朝日歌壇

error: Content is protected !!

Copyright© 短歌のこと , 2019 All Rights Reserved Powered by STINGER.