現代短歌

子どもの結婚を詠む短歌 現代アララギ派の作品より

投稿日:

子どもの結婚に際して親の立場で詠む短歌、私自身、子どもが結婚を迎えるので、お手本にするべく現代の短歌より探してみました。

スポンサーリンク



子どもの結婚を詠む短歌

嫁ぎし娘の置きてゆきたる雛人形幾年ぶりかひとり飾りぬ 山口澄子

作者は、アララギ系結社の歌人。

ひな人形は、今では大きな広いお宅でしか飾れなくなってきてしまいました。

娘さんにもっていってもらうべきだったが、残していったひな人形を、ひとりになった母が飾ります。

共に住むなき子の晴れの日を待つ夫と招待状を確かめて書く

こちらは、息子さんの結婚を詠っています。

東京の生活に慣れて来る子か必要な事のみを言ひ電話切れたり

作者は長野県にお住まいで、息子さんもその土地の出身ですが、都会人となって、電話もてきぱきと要件を伝えるものとなっていく。

母である作者はそう理解しながら、寂しい気持ちが現れています。

その息子さんが結婚をすることになったというのが上の歌です。

さらに

離れ住む若き二人の声を聞き夫としばらく気抜けしてをり

離れ住む息子と嫁を思ひ引くカタバミは落として種を散らしぬ

お嫁さんを詠んだ歌

銀杏の実を踏むまいとして子の妻の靴を上げつつ歩む幼さ

「今年はゆつくり時間を作つて帰りたい」嬉しもよ手紙に嫁の添へ書き

下の歌を詠むと、他家から来た婿も嫁も十分に家族を幸せにできることができることが思われます。

歌集では、お嫁さんと息子が田植えや稲刈りに繰り返し訪れる様子も描かれて心が温まりますが、今回は結婚の歌に絞って引用させていただきました。

歌集『科の木』山口澄子(短歌新聞社) より

 

国際結婚を詠む短歌

最近では、帰国子女という言葉の新しさもとうに薄れ、国際結婚をする方も多くなりました。

二年を共に暮らしし二人今夜(こよひ)きて結婚しますと神妙にいふ

この二人というのは、娘さんと、そのイギリス人の旦那さんのことです。

「神妙に」に暖かい感じがありますね。

イギリスのこの青年と結ばるる汝が必然もわれら諾う

「諾う」は「うべなう」と読みます。

国際結婚にいろいろと思うところはあるのですが、それだから「諾う」なのでしょう。

小さき諍ひ見する二人にほのぼのと顔見合わせぬわれとわが夫

娘とその夫の様子に並行して、自分たち夫婦の仕草を言い表しています。

結婚式の様子

このあとは、親族の集まる結婚式の様子が詠まれます。

少女にして「嵐が丘」に魅せられきいま子は嫁ぐヨークの青年に

姫リンゴやさしく実るこの庭に育ちしといふわが青年は

「わが青年」というのが子の夫をさす、親しみを込めた呼び名として使われます。

そして、夫となる人の親族。

子の夫となる青年の母なれば肩抱き親しこのイギリス婦人

のちに、夫の家族を日本にも招かれます。

横浜の夜景をよろこぶ新しきイギリスの家族と杯を掲ぐる

「新しきイギリスの家族」と夫の親族にも、一連の中に「家族」との語が充てられています。

再度、結婚式の風景

嫁ぐ子の姉のスピーチ穏やかに英語にいふを沁みて聞きゐつ

尖塔高く並みたつエディンバラに結婚の登録をしたりわが子ら

以上、歌集『ハバナの夕日』大窪和子 より。

 

息子の結婚を詠む短歌

並びゆく少女の髪が肩に触れしきりに母と呼ばれをりたり

息子の結婚相手となる少女の様子。

作者にはまだ戸惑いがあるように思えます。

相離る生き方などには触れざりき夜の街を二人につきて歩みて

作者の言いたいことは、その場でいわなかった上の句にあるのでしょう。

そして、この結婚はまもなく離婚に至りますが、やがて再婚に至ります。

子どもの結婚相手を詠む

再びの妻を娶ると言ひて来ぬ不幸せの日より八年を経て

そして、相手の女性のこと。その仕草。

いささかの迷ひもなしと少女子の笑まふとき吾に哀しみの湧く

伴へる少女はものを多く言はず木洩日の中をひたひた歩む

相手の仕草や言葉に相関して湧き起る言葉ではないリアクションを表します。

その下は女性らしい着目。

竹下通りの丈の短きワンピースいづれを着ても輝く少女

ミニスカートの少女は動く木洩日を手に受けて我を母と呼びたり

今夜二人が点しておらむ窓の灯を思ひていつまでも削る鉛筆

親の方から見ても相手の方のいろいろなところを見て思いを巡らせるものでしょう。

以上、歌集『風のロン』倉林美千子 より

終わりに

子どもの結婚を詠む短歌、いかがでしたでしょうか。これらの作品を手本としながら、私も子どもの大切な結婚の歌を、これから頑張って作ってみたいと思います。





tankakanren

-現代短歌

error: Content is protected !!

Copyright© 短歌のこと , 2020 All Rights Reserved Powered by STINGER.