朝日歌壇

コロナの短歌4 志村けん追悼歌 ”人間力”を高めよう

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新型コロナの感染者数が日に日に増加しています。

日本ばかりか世界レベルでの危機ですが、朝日歌壇にはコロナウイルスとその影響下の生活の情景を詠んだ短歌がたくさん投稿されています。

朝日新聞の投稿歌より、コロナの短歌をご紹介します。

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コロナ禍を詠む短歌

日本だけでなく人類の危機をもたらす新型コロナ、この危機を短歌で分かち合おうとして、朝日歌壇の投稿にもコロナウイルスとその影響下にある生活の様子を題材にした短歌が投稿されています。

コロナの脅威にもめげず、また、生活の制限される悲しみをも、歌に詠もうとする気概が素晴らしいですね。コロナの短歌をご紹介します。

 

コロナの投稿歌 4月26日の朝日歌壇

4月26日の朝日歌壇の短歌より、コロナが題材の短歌をテーマ別にまとめてご紹介します。投稿者の敬称は略させていただきます。

志村けんさん追悼

最後までコントか本当かわからない手品のように消えたおじさん

大阪市 澤田佳世子

彼こそは「変なおじさん」そのもので志村けんさんコロナに死する

愛知県 清水将一

金ダライすいか早食いヒゲダンス今こそ欲しい茶の間の笑い

所沢市 木村佑

突然、訃報が伝わった一人、志村けんさんを悼む歌が多く見られました。

 

辛い時あんなに笑はせてくれた父も志村けんも居ないこれから

さいたま市 齋藤紀子

志村けんさんよりも、もっと身近な「父」を入れることで、寂しさが一層募ります。

結句の「これから」が、作者の支えるもののいない孤独をいっそう浮き立たせます。

 

コロナ下で変化する生活

おろされたシャッターつづく商店街みんな呼吸をやめてしまった

さいたま市 丹羽祥子

閉店が続く商店街の描写。結句の比喩がすばらしいですね。

 

武蔵野に生れし孫を二ケ月も未だに抱けぬ新型コロナ

昭島市 篠原優子

初句の固有名詞がお孫さんの実体であるところを、くっきりさせています。

結句に「新型コロナ」があるのも、見習いたいところです。

コロナ下の生活の喜び

コロナ下の生活にも、もちろん喜びがないわけではありません。

外出をやめた日曜雪集めはしゃぐ子を見る降ってよかった

相模原市 岩村美樹

よかったとはいっても、けっして文字通りの良かったではないのですが、子どもたちを自由に遊ばせてあげることの幸福感が際立ちます。

 

疫病に閉じ込められて過ごす日々人間力をためされている

相模原市 三木涼子

上の投稿者に続いて、相模原市は、感染者数の比較的多いところです。

外出自粛で出かけられないことを「人間力をためされている」として、それに立ち向かっていこうとする作者のポジティブな姿勢は、コロナの短歌を詠むことにも示されています。

 

ウイルスの世界中の広まりに自分だけはないと考えている

さいたま市 高橋健興

これもコロナに伴って、皆が考えていることだと思わされます。

危険を差し引いて考えているので、逆に著名人が亡くなると衝撃を受けるのではないでしょうか。

短歌ではないが、どれだけ”自分に引き付けて”考えられるかが、「外出8割減」の達成にも関わってくることでしょう。

以上、コロナが題材の短歌です。

いずれの歌にも慰められますね。ありがとうございます。

 

コロナ以外の短歌

ここから、題材がコロナ以外の短歌で、心惹かれたものをあげさせていただきます。

ひと頃の庄屋屋敷は荒れ果てて野ばらからまる競売の札

鴻巣市 佐藤富子

空き家問題とて、これもまた”待ったなし”の大きな社会問題となっています。

単なる空き家ではなく、「競売」ということは、一層深刻な状況のようですね。

 

目のかぎり広がる春のぶどう棚雲の影のみゆっくり移る

アメリカ ソーラー泰子

テレビで見るような映像を、人の目でとらえたもの。

日の移ろいが見えるのは、このような場所ならではでしょう。

 

曲がりたる先にも赤く続きをり地蔵菩薩の前掛けの列

可児市 前川泰信

続く道を歩いてゆくと、その先にも地蔵が列をなしているという情景。

技法は3句切れと倒置。体言止め。

赤いのは、地蔵の前掛けの色ですが、「赤」を2句に先に持ってきて、その色が持続するようになっています。

列は、地蔵の列ではなくて、「前掛けの」として再び強調。

くすんだ石仏の色と、自然の色の中で、目立つのはその色。

一首は、何やら赤い色が目に入るなあ、と思ったら、三句切れて、道が曲がるような転換点があって、その先に地蔵が長い列になっているのが初めて一望できる、という構成です。

静謐な感じのあるすてきな歌です。

終わりに

コロナ下の生活ですが、コロナの話題ばかりに向かい合っていても疲れてしまいます。

心の感興を大切にコロナの歌も、他の歌も両方が詠めると楽しいですね。

それではまた来週お届けしようと思います。

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