朝日歌壇

コロナの短歌7 コロナ離婚、レジのビニールや無観客演奏会

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新型コロナの短歌、短歌を詠まれる方は、どのような内容を歌にしているのでしょうか。

朝日歌壇にはコロナウイルスとその影響下の生活の情景を詠んだ短歌がたくさん投稿されています。

5月17日の朝日新聞の投稿歌より、コロナの短歌をご紹介します。

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コロナ禍を詠む短歌

日本だけでなく人類の危機をもたらす新型コロナ、この危機を短歌で分かち合おうとして、朝日歌壇の投稿にもコロナウイルスとその影響下にある生活の様子を題材にした短歌が投稿されています。

コロナの脅威にもめげず、また、生活の制限される悲しみをも、歌に詠もうとする気概が素晴らしいですね。コロナの短歌をご紹介します。

 

コロナの投稿歌 5月17日の朝日歌壇

5月17日の朝日歌壇の短歌より、コロナが題材の短歌をご紹介します。

今日もすばらしい作品が投稿されています。投稿者の敬称は略させていただきます。

 

唐突にコロナ離婚がわかるわとピアノに向かう休日の妻
(伊賀市)上門善和

感染者の増加が落ち着くにつれて、皆様の詠まれる短歌も内容の強さが薄れた感がありますが、こちらはインパクトがあります。

コロナウイルスの不安や恐れよりをはるかに凌駕する内容ではないでしょうか。

それにしても「ピアノ」というアイテムが人との断絶を表すのに使えるものだったとは。

 

要請の外出ひかへ歌詠むは不急なれども不要にあらず

(長野県)井上孝行

急ぎではないが、必要であるというのですね。

ううむ、短歌というのは、案外不要不急だと思います。急いで書き留めないと言葉は霧散してしまいますし、締め切りがある方はそれにも増して大忙しなのです。

 

街中にモンシロチョウが飛んでいるそう思いたいマスクの人々

(守口市)小杉なんぎん

マスクの歌はこれまでにもたくさん読んできましたが、一番ファンタジックな歌。

 

ひっそりとおきなぐさ咲く写真あり聴禽書屋(ちょうきんしょおく)の休館の記事

(仙台市)沼沢修

聴禽書屋(ちょうきんしょおく)は山形県に疎開した斎藤茂吉が住んでいた家。コロナの影響で休館になったというニュースですが、おきなぐさが咲いていたという。

「赤光」には「おきなぐさ唇ふれて帰りしがあはれあはれいま思い出(いで)つも 」との歌があります。

 

 レジ前は透明シートでガードされ店員さんとの会話は単語

(東京都)佐藤雅子

ビニールのカーテン越しのマスクからくぐもる声聞く朝のコンビニ

(直方市)永井雅子

こういう初めての光景も後には忘れ去られていくのでしょうか。

歌に書き留めておきたいですね。

 

桜咲く軽井沢での結婚式延びても永遠に愛は続くよ

(上田市)上野道子

私の身内もまったく同じ状況で、心配させられますが、下句のようだったら安心です。うれしい短歌。

 

ウイルス禍の街はマスクに牛耳られ忘れがちなる口紅悲し

(茅ケ崎市)岡田みいこ

コロナでマスクが常時着用となると、口紅もいりませんね。

あるいは、大きなマスクだったら化粧も不要かもしれません。

 

 

演奏を終えて深々礼をする指揮者とソリスト無観客でも

(東京都)八巻陽子

CDの録音場面などなら当たり前、と言ってしまえばそれまでなのですが、「無観客」というのは、また独特な雰囲気があるものなのですね。

 

コロナ以外の短歌

ここからは、題材がコロナ以外の短歌です。

「詳細はホームページで……」その度にアナログ人は殺されてゆく

(近江八幡市)寺下吉則

アナログ人という造語がおもしろい。他に「ツイッターで」というものもありますね。

少し前のデジタルデバイドというのは、機器を使う使わないで生じる格差のことです。

 

防水のマイクを沈めてバリトンのザトウクジラの恋の歌聴く

(越谷市)黒田祐花

クジラの研究のためでしょうか。「バリトン」がなんとも愉快。

 

月光に醸し出されて藤棚の藤が差し出す房のむらさき

(三郷市)木村義熙

月光のクローズアップを歌で表現されています。

月の光で陰りを帯びて濃く映る藤の色を、まず藤棚、藤の花房、花の色と集約させていき、その最後が結句の体言止めとなっている。

それが作者の注目の順序でもあり、心を惹かれた点もそこにあります。

 

コロナ禍で読経後すぐに若和尚マスクを着けて客に茶を出す

(三原市)岡田独甫

「これも『コロナ』が入っているからコロナの短歌でしょう」、と言われそうですが、それ以上に面白い観察。

作者は僧侶の方なので、若和尚の行動をつぶさに見ておられます。経を読む際には、声が通るようにマスクをしないと言えばそうなのですが、その際の向かうのは祭壇と仏。

その後の相対は、生身の人で、「すぐに」がその移り変わりを強調します。

コロナよりも「マスク」のつけ外しで、相対している”相手”が暗に示される。もちろん「仏」は目には見えないものです。

この作者の歌は、いつも何となくおかしみがありますね。

 

パーサーの夫の着陸待ちながら女は弾くなり空港ピアノ

(横浜市)吉川米子

人気のテレビ番組。空港に居る事情がおもしろいところをとらえられました。

終わりに

コロナの感染者数の減少で、コロナの歌も少なくなっていくかもしれません。

コロナ禍は日本だけでなく世界的レベル、振り返ったときには、歴史的な出来事になりそうです。

できるだけ歌に詠んで残しておきましょう。

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