朝日歌壇

コロナの短歌8 病院船とマスク不足、外出自粛の「粛」の字

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新型コロナの短歌、短歌を詠まれる方は、どのような内容を歌にしているのでしょうか。

朝日歌壇にはコロナウイルスとその影響下の生活の情景を詠んだ短歌がたくさん投稿されています。

5月24日の朝日新聞の投稿歌より、コロナの短歌をご紹介します。

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コロナ禍を詠む短歌

日本だけでなく人類の危機をもたらす新型コロナ、この危機を短歌で分かち合おうとして、朝日歌壇の投稿にもコロナウイルスとその影響下にある生活の様子を題材にした短歌が投稿されています。

コロナの脅威にもめげず、また、生活の制限される悲しみをも、歌に詠もうとする気概が素晴らしいですね。コロナの短歌をご紹介します。

これまでの記事一覧は下から
コロナの短歌

朝日歌壇については下の記事
朝日歌壇とは何か知りたい方へ 各新聞短歌投稿方法と宛先まとめ

 

コロナの投稿歌 5月24日の朝日歌壇

5月24日の朝日歌壇の短歌より、コロナが題材の短歌をご紹介します。

今日もすばらしい作品が投稿されています。投稿者の敬称は略させていただきます。

コロナと生命

新型コロナはともすれば、人々の心に不安や脅威を呼び起こすのは、罹患者すべてではないものの、コロナによって亡くなる人が出ているという点です。

「五時からはウイルスの方専用です」促され骨抱き斎場を出づ

(朝霞市)青垣進

投稿者の出席した火葬はコロナと関連はありませんが、上のような光景が見られたとのことです。

コロナと「死」が直結する可能性が高いことを思い出させられます。

 

ロス沖に停泊待機の病院船赤十字マークに緊張の増す

(アメリカ)ソーラー泰子

在米の作者の捕らえた風景。感染が広まった初期の頃の日本のクルーズ船問題も人々の不安をあおるものでした。

「病院船」という言葉も普及した感があります。

 

窓々に感謝の声の合唱に仮設病院の医者等拍手す

(アメリカ)大竹博

在米の作者の捕らえた風景。最も負担を強いられたのは、医療従事者たちで、彼らを慰労し、励まそうとうする動きが見られました。

支援は引き続き必要となるでしょう。

 

外出自粛の日々

初めての歓迎会はオンライン缶開ける音ハウリングする

(熊本市)松野光祐

「オンライン○○」というのも、すっかり定着しましたが、皆で飲み会を始めようとすると、上のような音が伝わるのですね。

画像にばかり注意が行きそうですが、聴覚のとらえたものが詠まれているのが目新しくて独創的です。

 

就活も延期バイトもお休みで眠くもなくて雲ばかり見る

(富山市)松田梨子

数日のお休みなら「寝正月」のような休息の良い機会なのですが、長期になるとそうそう眠くもなくなります。

結句の「雲ばかり見る」が無為の日々を伝えて新鮮です。

 

ひょっとして今年の漢字になるのでは筆順もややこしい「粛」の字

(大和市)春原正彦

「ひょっとして」の口語的な言葉が、作者の思いつきを伝えます。「なるのでは」の後は、いったん切る”句切れ”ですね。

コロナが字を覚えるきっかけになるわけですが、時事的な背景を伝えつつ、ふとした思いつきめいた提示が一首になるのはすばらしいです。

 

五兆円軍事費を使うこの国で紙のマスクが手に入らない

(神戸市)康哲虎

共選の作品。物がない、しかも、最も大切なマスクがお店に無いというのは、人々に大きな負荷を与え、マスク以外の物も不足するという事態を招きました。

上句の「五兆円軍事費」との、具体的な数字との対比が素晴らしい。平時なら1枚100円以下のマスク、煎じ詰めればただの紙なのに、という嘆息があります。

関連記事:
康哲虎の短歌 第34回朝日歌壇賞

 




 

コロナ以外の短歌

ここからは、題材がコロナ以外の短歌で、感銘を受けたものを紹介させていただきます。

庭隅の稲荷に上げる油揚夕にはいつも空っぽの皿

(所沢市)横田富江

ほのぼのとした内容。一瞬「空っぽ」とはどういうことかを考えましたが、ああ、そうか!

わかっていてもお供えをする作者も素晴らしい。それにしても、お庭に稲荷神社がある広いお宅なのですね。

 

蓄えの無い人なんと多いこと貯金の好きな国民いずこ

(宝塚市)岸田万彩

年金2千万円問題で人々が驚いた理由は、年金そのものの問題よりも、そんなに貯金がないという点でしょう。

さらに今回のコロナにおいても、困窮者が多くいることが報道され、貯金の大切さが知らされました。

日本人は「貯金好き」で知られていたわけですが、どうしてこうなってしまったのかとの問いを投げかける作品です。

 

お母さんとお義母さん、その発音の重なりし頃義母は逝きけり

(奈良市)山添聖子

共選の作品。「やっと実母と同じトーンで呼べるようになった頃逝った義母」との永田氏の評があります。

 

自販機といえど補充をするときは人がしている地味な手作業

(館林市)阿部芳夫

自販機というのは、自動販売機の略なのですが、けっして「自動」ではないのだということに気が付かされます。

木下龍也氏の短歌に「コンビニのバックヤードでミサイルを補充しているような感覚」という作品を思い出しますね。

関連記事:
木下龍也短歌作品集『つむじ風ここにあります』『きみを嫌いな奴はクズだよ』

終わりに

新型コロナの影響による緊急事態宣言も、まもなく解除となる見通しです。

コロナ禍は日本だけでなく世界的レベル、振り返ったときには、歴史的な出来事になりそうです。

気が付いたこと、新たに発見したことを、できるだけ歌に詠んで残しておきたいものです

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