日めくり短歌

草づたふ朝の蛍よみじかかるわれのいのちを死なしむなゆめ【日めくり短歌】

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季節の歌や言葉をお届けする新しいコーナー【日めくり短歌】。

「天声人語」に稲畑汀子の「蛍に暮れねばならぬ空のあり」の俳句が引用されていました。

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蛍に暮れねばならぬ空のあり 稲畑汀子

季節はあっという間に梅雨になり、蛍の話題が「天声人語」でも取り上げられました。

田園の少なくなってしまったところでは、なかなか見られなくなった生き物であるかもしれませんね。

私は比較的田舎と思われる地域に住んでいるつもりなのですが、それでも蛍を見たのは一度限り、親戚の家を訪ねた折に、わざわざ連れて行ってもらったことがあるだけです。

取り上げられたのは

蛍に暮れねばならぬ空のあり 稲畑汀子

天声人語の掲出の俳句の初句の読みは「ほうたるに」です。

「暮れねばならぬ」の表現

この句に惹かれる理由は「暮れねばならぬ」の2句の部分です。

この「ねばならぬ」は蛍にとってのことで、天声人語のコメントには

「日が暮れることのうれしさは見るほうだけでなく、彼らも感じているであろう。何しろ光の明滅で恋をささやくのだから」

と記されていますが、「ねばならぬ」はもう少し強い印象を受ける表現です。

日が暮れなければ蛍は活動できない。誰にとっても等しく夜は来るものですが、蛍が生きるべき時間は、その間しかないのです。

ただ、たぶん、私がそう思うのは、下の斎藤茂吉の一首が念頭にあるためかもしれません。

 

草づたふ朝の蛍よみじかかるわれのいのちを死なしむなゆめ

「存在の不安が人一倍強かった」とされる歌人斎藤茂吉にとって、夜を越えて草葉の陰に息づく蛍は、そのように呼びかけてもよい相手だったのです。

それが人ではなくて、小さな蛍だったところに歌人の孤独が見えてくる気がします。

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