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斎藤茂吉歌集『つゆじも・遠遊・遍歴・ともしび』短歌一覧 現代語訳付き解説と鑑賞

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斎藤茂吉の第3集『つゆじも』と『ともしび』の中の短歌の代表作です。

各歌をクリックすると個々の歌の現代語訳と解説・鑑賞のページに飛びます。

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順次作成していきますのでお待ちください。

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「つゆじも」「ともしび」掲載歌一覧

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このページは、斎藤茂吉の第3集『つゆじも』と『ともしび』の中の短歌の代表作を示します。

解説なしの『つゆじも』全文もありますので、ご参照ください。
斎藤茂吉「つゆじも」短歌代表作品 テキストのみ解説なし

斎藤茂吉の他の歌集:
斎藤茂吉『赤光』短歌一覧 現代語訳付き解説と鑑賞
斎藤茂吉『あらたま』短歌一覧 現代語訳付き解説と鑑賞

斎藤茂吉の全歌集については
斎藤茂吉の歌集解説『赤光』~『白き山』『つきかげ』まで各歌集の特徴と代表作

 

『つゆじも』

『つゆじも』『ともしび』から選んだ代表歌について一首ずつ書き記します。
各歌をクリックすると、掲載ページへ飛びます。

ゆふぐれの泰山木の白花はわれのなげきをおほふがごとし

湯いづる山の月の光は隈なくて枕べにおきししろがねの時計を照らす

のぼり来し福済禅寺(ふくさいぜんじ)の石畳そよげる小草とおのれ一人と

海のべの唐津のやどりしばしばも噛みあつる飯(いひ)の砂のかなしさ

いつくしく虹たちにけりあはれあへれ戯れのごとくおもほゆるかも

みづからの生(いのち)をしまむ日を経つつ川上がはに月照りにけり

牛の背に畠つものをば負はしめぬ浦上人(うらかみびと)は世の唄うたはず

松風のおともこそすれ松かぜは遠くかすかになりにけるかも

ながらふる月のひかりに照らされしわが足もとの秋ぐさのはな

飛騨の空にあまつ日おちて夕映のしづかなるいろを月てらすなり

わがいのちをくやしまむとは思はねど月の光は身にしみにけり

『遠遊』

こほりつつ流るるにかあらし豊かなるドウナウのみづの音のさびしさ

基督(キリスト)の一代の劇壮大に果てむとしつつ雷(らい)鳴りわたる

復活祭の差にうちたる銃(つつ)のおと谷谷(だに)わたるこだまとぞなる

サン・ピエトロの丸き柱にわが身寄せ壁画のごとき僧の列見つ

黒貝のむきみの上にしたたれる檸檬の汁は古詩にか似たる

うすぐらきドオムの中に沈まれる旅人われに附きし蠅ひとつ

『遍歴』

はるかなる国とおもふに狭間には木精(こだま)おこしてゐる童子あり

黒林のなかに入りゆくドウナウはふかぶかとして波さへ立たず

大き河ドナウの遠きみなもとを尋(と)めつつぞ来て谷のゆふぐれ

ヴァン・ゴオホつひの命ををはりたる狭き家に来て昼の肉食(を)す

あふりかの陸のかなたに暮れはてぬ光のなごり寂しくもあるか

この洋にかなしきかなやあさみどりしづかなる水を抱く島あり

汗にあえつつわれは思へりいとけなき瞿曇(くどん)も辛き飯食ひにけむ

おどろきも悲しみも境過ぎつるか言絶えにけり天つ日のまへ

『遠遊』と『遍歴』の上記作品については、下の記事:
斎藤茂吉の海外旅行詠 歌集『遠遊・遍歴』 より代表作品「黒林のなかに入りゆくドウナウはふかぶかとして波さへ立たず」

『ともしび』

かへりこし家にあかつきのちやぶ台に火焔(ほのほ)の香する沢庵を食む

家いでてわれは来しとき渋谷川に卵のからがながれ居にけり

うつしみの吾がなかにあるくるしみは白ひげとなりてあらはるるなり

ひかりさす松山のべを越えしかば苔よりいづるみづを飲むなり

さ夜なかにめざむるときに物音たえわれに涙のいづることあり

目をあきてわがかたはらに臥したまふ窿応和尚のにほひかなしも

今日の日も夕ぐれざまとおもふとき首(かうべ)を垂れて我は居りにき

こもり波あをきがうへにうたかたの消えがてにして行くはさびしゑ

さ夜ふけて慈悲心鳥のこゑ聞けば光にむかふこゑならなくに

うごきゐし夜(よる)のしら雲のなくなりて高野(たかの)の山に月てりわたる

しづかなる峠をのぼり来しときに月のひかりは八谷をてらす

ひる過ぎてくもれる空となりにけり馬おそふ虻(あぶ)は山こえて飛ぶ

雪ぐもりひくく暗きにひんがしの空ぞはつかに澄みとほりたる

目のまへの雑草(あらくさ)なびき空国(むなぐに)にもの充(み)つるなして雨ぞ降りゐる

秋づきて心しづけし町なかの家に氷を挽きをる見れば

信濃路はあかつきのみち車前草も黄色になりて霜がれにけり

むかうより瀬のしらなみの激ちくる天龍川におりたちにけり

ぬばたまの夜にならむとするとき向ひの丘に雷ちかづきぬ

音立てて茅(ち)がやなびける山のうえへに秋の彼岸のひかり差し居り

はざまより空にひびかふ日すがらにわれは寂しゑ鳴沢(なるさは)のおと

山がひの空つたふ日よあるときは杉の根方まで光さしきぬ

きはまりて晴れわたりたる冬の日の天龍川にたてる白波

浅草のきさらぎ寒きゆふまぐれ石燈籠にねむる鶏(とり)あり

わが父も母もなかりし頃よりぞ湯殿のやまに湯は湧きたまふ

常ならぬものにもあるか月山(ぐわつさん)のうへにけむりをあげて雪とくる見ゆ

夜もすがらたまゆらも眠りがたしとて吾にむかへる労働人(はたらきびと)ひとり

絶間なきものの響やわれひとり野分(のわき)だつ庭にいで来りける




-ともしび

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