蕗の薹とは植物のフキの花、またはつぼみのことです。
きょう2月10日の日めくり短歌は、ふきのとうの日にちなみ、蕗の薹の俳句を一覧でご紹介します。
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蕗の薹とは
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蕗の薹は、植物のフキがまだ葉を出す前に土から顔を出します。
その時の状態はまだ、つぼみですが、寒さの中でもだんだん開いて、花を咲かせる様子が見られます。
蕗の薹の短歌は
蕗の薹は春の季語
花とはいっても、薄緑一色に黄色の蕊の部の混じった地味な花ですが、春を告げる風物として、俳句や短歌にも読まれています。
俳句においては、蕗の薹は春の季語です。
蕗の薹の俳句の有名な作品
蕗の薹の俳句の比較的有名と思われる作品から上げていきます。
莟(つぼみ)とは汝(なれ)も知らずよ蕗の薹
作者は与謝蕪村。
蕗の薹は開けば花ですが、最初に土から顔を出した時は、つぼみです。
持ち上げし土をまだ出ず蕗の薹
作者:稲畑汀子
目を出したばかりのまだ固いつぼみの蕗の薹です。
蕗の薹福寿草にも似たりけり
作者:正岡子規
フクジュソウは、こちらも春一番に土から顔を出して咲く花です。
ほうけたるまま也つくし蕗の薹
子規には他にも時間のたった蕗の薹を詠ったものがあります。
乾きたる垣根の土や蕗の薹
白紙に包みし土産蕗の薹
作者:高浜虚子
おみやげにいただいた蕗の薹。新聞紙などではなく、白い紙に包まれていたというのですね。
他に「乾きたる垣根の土や蕗の薹」
蕗の薹おもひおもひの夕汽笛
作者:中村汀女
夕べの蕗の薹を詠ったもの。土手を走る列車が目に浮かびます。
種田山頭火の蕗の薹の俳句
種田山頭火には、蕗の薹を読んだものが多くあります。
山頭火は自由律俳句の俳人です。
あるけばふきのとう 山頭火
作者:種田山頭火
蕗のとう、あれから一年たちました 山頭火
蕗の薹の姿に、昨年の春からの時間の流れを振り返ります。
蕗のとうのみどりもそへてひとりの食卓 山頭火
道端に見つけた蕗の薹を積んで食材とします。
いつも貧乏でふきのとうやたらに出てくる 山頭火
こちらはユーモラスな蕗の薹です。蕗の薹は野草ですので、一時期にたくさん採れるのですね。
他にも
ここにふきのとうがふたつ 山頭火
ここにふきのとうそこにふきのとう 山頭火
石垣の日向のふきのとうひらいてゐる 山頭火
旅する人には、蕗の薹が目に入りやすかったのでしょうか。
文学者の蕗の薹の俳句
かんな屑のかろさよ蕗の薹が出た 北原白秋
人住むと知るや知らずや蕗の薹 会津八一
古垣の繩ほろと落つ蕗の薹 室生犀星
山峡をバスゆき去りぬ蕗の薹 三好達治
日あたりや蕗より繁き蕗の薹 森鴎外
きょうの日めくり短歌は、ふきのとうの日にちなみ、蕗の薹の俳句をご紹介しました。
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