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土屋文明が選ぶ『白き山』の秀歌5首

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土屋文明が斎藤茂吉の『白き山』から選んだ5首をご紹介します。

最上川を詠んだ歌ではないことが意外ながら、文明の考える斎藤茂吉の完成の形を伝えるものとなっています。

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土屋文明が選ぶ『白き山』の秀歌5首

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斎藤茂吉が所属した「アララギ」で行われた斎藤茂吉合評に、土屋文明は初回から参加しました。

その後、「石泉」の半ばで、体調不良のため一時中断しましたが、読売新聞に斎藤茂吉に関して執筆した記事において、斎藤茂吉の短歌を『白き山』より5首選んで掲載したとあります。

その時の短歌は、以下の通りです。

みずからがもて来りたる蕗の薹あまつ光にむかひて震ふ

秋たつとおもふ心や対岸の杉の木立にうごくを見つつ

われをめぐる茅がやそよぎて寂(しづ)かなる秋の光のなりにけるかも

目のまへにうら枯れし蕨の幾本か立ちけり礙(さまた)ぐるものあらなくに

われひとりきのふのごとく今日もいてつひに寂しきくれぐれの山

 

土屋文明がみなす茂吉の完成

これらの歌を、文明は『白き山』から「全力をしぼり出して」選出したようです。

その際、「軽妙透明」「ひそかなる一つの結晶として光を収めている」として、高く評価ができるものを選ぼうという意図があったようです。

斎藤茂吉記念館館長をつとめる本林勝夫氏は、

ここには子規の俳句を含めたその詩業を継承し、短歌の形式に見事に結晶させた簡浄をきわめる姿をみるからである―『茂吉遠望』より

として、文明の選んだこれらの歌が、茂吉の到達しえた「完成である」としています。

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