しろがねの雪ふる山にも人かよふ細ほそとして路見ゆるかな
斎藤茂吉『赤光』から主要な代表歌の解説と観賞です。
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※斎藤茂吉の生涯と、折々の代表作短歌は下の記事に時間順に配列していますので、そちらも合わせてご覧ください。
しろがねの雪ふる山にも人かよふ細ほそとして路見ゆるかな
読み:しろがねの ゆきふるやまにも ひとかよう ほそほそとして みちみゆるかな
現代語訳
銀色一色の雪の降る山の中にも人が通る細い細い道が見えるのだ
出典
斎藤茂吉 『赤光』大正元年 2木の実
歌の語句
しろがね・・・銀色
かよふ・・・通う
かな・・・詠嘆の終助詞
表現技法
句切れなし
解釈と鑑賞
睦岡山中のなかの一首。
斎藤茂吉自註
東北の冬の山を見て作ったものだが、雪が降ってもまだ通う路が見えるという感慨と、雪降る冬の山にも生業のためには人等が通うという感慨とが相交錯していたのであろう。初句に「しろがねの」と老いたのは意味よりもむしろその音調から選ばれている。(斎藤茂吉著『作歌四十年』より)
佐藤佐太郎の評
「しろがねの雪ふる山」が簡潔でさわやかでいい。「しろがねの」は「雪」の白さを形容したのだが、意味合いよりも音調によって「雪」につづけており、さらに雪の積もっている山を「雪ふる山」とというのが簡潔で自在である。(「茂吉秀歌」佐藤佐太郎)