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こがらしも今は絶えたる寒空よりきのふも今日も月の照りくる 斎藤茂吉『石泉』

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こがらしも今は絶えたる寒空よりきのふも今日も月の照りくる

斎藤茂吉の歌集『石泉』より主要な代表作短歌の解説と観賞です。

このページは現代語訳付きの方です。

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こがらしも今は絶えたる寒空よりきのふも今日も月の照りくる

読み:こがらしも いまはたえたる さむぞらより きのうもきょうも つきのてりくる

作者と出典

斎藤茂吉 歌集『石泉』

意味

こがらしの吹く季節も過ぎて、空気が冷たく澄んだ冬空から、昨日も今日も月の光が照り渡る

歌の語句

    • こがらし…晩秋に吹く風速8m以上の北寄りの風。「木枯し」「凩」とも表記
    • 今は絶えたる…冬型の季節配置に入ったときの風なので、本格的な冬に入れば厳密には「こがらし」ではなく、その季が終わって、時期が冬に入ったことを表す。「たる」は存続の助動詞「たり」の連体形
    • 「寒空」…「冬空」という言葉を使っていないところも注意

修辞と表現技法

  • 句切れなし
  • 「寒空より」は字余り
  • 照りくる…「くる」は、連用形止め

鑑賞と解釈

1933年(昭和8年)作

斎藤茂吉の自注 「作歌四十年」より

こがらしの吹く季節もようやく過ぎて、冬が深まるにつれて、月の光がますますさえわたるのを見るのである。香川景樹の歌調のようでもあるが、必ずしもそうでないから心して読まれたい。(斎藤茂吉著『作歌四十年』より)

香川景樹は江戸時代後期の歌人。おそらく「はるばると霞める空をうちむれてきのふもけふも帰るかりがね」などを指すのだろう。

斎藤茂吉のこがらしの短歌

一連の歌

ものねたむ心おこりもなくてわが歩みゆく道の泥もこほりぬ

空ひくくまどかなる月いでにけり市中(いちなか)にしてたたずむわれは




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