最上川氾濫のニュース、今年はまだ台風も来ていないのに、各地で大雨による被害が伝わっており、大変心配なことです。
最上川は斎藤茂吉が、晩年たくさん歌に詠み、いわば、こころの友とした川です。
今日の日めくり短歌は、斎藤茂吉の最上川の短歌を紹介します。
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ひがしよりながれて大き最上川見おろしをれば時は逝くはや
歌集「白き山」より、斎藤茂吉の最上川の歌の一つ。
意味は、
「東側を流れていく大きな最上川、その川を見下ろすと、この川の流れのように時も過ぎていくのだなあ」
茂吉は戦争のために故郷山形に疎開、高齢のため病気にもなり、そこで病を養いました。
家族を離れ、一人の時に、重い肋膜炎を患ったのです。しかも、敗戦後のこととて、斎藤茂吉にとっては、大変つらい時期となりました。
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最上川と共に
ここでの最上川は斎藤茂吉のいわば「こころの友」であったと思います。
折々の川の様子をその都度歌に詠んだので、歌集の全850首のうち、102首を最上川の歌が占めることとなったのです。
上の歌「ひがしよりながれて大き最上川見おろしをれば時は逝くはや」は、黒滝向川寺に上り、そこから見下ろした最上川の様子を詠んだもの。
「時は逝くはや」は「時が過ぎていくのだなあ」という意味で、川の流れと時の流れを重ね合わせています。
もうひとつ、最上川詠で一番有名なものは、逆白波の歌、
最上川逆白波のたつまでにふぶくゆふべとなりにけるかも
この歌の眼目となるのは「逆白波」という言葉ですが、これは土地の人が会話の中で言った言葉を、茂吉が覚えて歌に使ったというエピソードがあります。
この歌は、斎藤茂吉の歌の代表作と言っていいくらいよく知られています。
まぎれもない秀歌なのですが、上に言った通り102首の中の1首ですので、それだけ最上川が作者にとって愛着のあるものだったので、このような歌が生まれたのでしょう。
今日の日めくり短歌は、最上川にちなみ、斎藤茂吉の最上川の短歌をお届けしました。
それではまた明日!
斎藤茂吉の最上川の短歌は
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