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斎藤茂吉の虹の短歌 東南のくもりをおくるまたたくま最上川のうへに朝虹たてり

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斎藤茂吉の虹を詠んだ短歌は、歌集『白き山』にある歌が知られています。

他の歌集にも折々に見かけた虹が詠まれた作品ああります。

斎藤茂吉の虹の短歌をまとめます。

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斎藤茂吉の虹の短歌

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斎藤茂吉の虹の短歌の代表的なものは、下の一首。歌集『白き山』の最上川詠の中にある、最上川にかかる虹を詠んだものです。

最上川の上空にして残れるはいまだうつくしき虹の断片

歌の意味は、「最上川の上の空に残っているのは、まだ色褪せずに美しい虹の断片だ」というもの。

この歌が含まれる「虹」の一連は、虹を詠んだのはこれと、もう一首のみです

他に『白き山』からは

東南のくもりをおくるまたたくま最上川のうへに朝虹たてり「虹」

雪雲の山をはなれてゆくなべに最上川より直(ただ)に虹たつ

最上川水のうへよりまぢかくにふとぶとと短き冬虹たてり

歩き来てしばしくは見てゐたりけり最上川に短き冬虹たつを

最上川のながれの上に冬虹のたてるを見れば春は来むかふ
―歌集『白き山』「山上の雪」

 

上の歌は、いわば消えかけた虹ですが、立ったばかりの他の他の歌集にある虹の歌は、

歌集『あらたま』にある作品

ふゆ空に虹の立つこそやさしけれ角兵衛童子坂のぼりつつ

獅子舞の子どもと虹を取り合わせたものと、その続き「墓はらをこえて聯隊(れんたい)兵営のゆふ寒空に立てる虹かも」

 

『つゆじも』の「洋行漫吟」で外国に見る虹の

虹ふたつ空にたちけるそのひとつ直ぐ眼のまへにあるにあらずや

の、外国ならではの辺りの広さを感じさせる作品。

そして、同じ『つゆじも』にある作品、

いつくしく虹たちにけりあはれあはれ戯れのごとくおもほゆるかも

この解説は
いつくしく虹たちにけりあはれあはれ戯れのごとくおもほゆるかも斎藤茂吉『つゆじも』

 

『白桃』には、平福百穂を見舞った折の歌に、虹を詠んだものがあります。

虹たちし空もありつつ北ぐにのとほき横手のかたに雨降る

この歌の解説
虹たちし空もありつつ北ぐにのとほき横手のかたに雨降る 平福百穂を詠んだ

 

『霜』の山の中に見る虹、

高空に虹のたつこそあはれなれあまつ日山に没しけるかな

この歌は、虹のみを愛でて集中して歌っています。

歌集『小園』より

あまつ日は入りゆきしかど背向(そがひ)なる山に立ちたる虹あざやけし

虹は太陽の照らす方向の、やや離れた位置に立ちます。

「背向」はその位置を表しています。

同じ一首

いそぎつつ川原わたればおもほえず月山の方に時雨虹たつ

月山(がっさん)は、出羽三山のひとつ、連作11首の中の一首となっています。

斎藤茂吉の虹を詠んだ短歌の最後のものは、冒頭の最上川詠となります。




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