死にたまふ母

ひた心目守らんものかほの赤くのぼるけむりのその煙はや 「死にたまふ母」斎藤茂吉『赤光』

ひた心目守らんものかほの赤くのぼるけむりのその煙はや

斎藤茂吉の歌集『赤光』「死にたまふ母」から其の3の短歌に現代語訳付き解説と観賞を記します。

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※斎藤茂吉の生涯と代表作短歌は下の記事に時間順に配列しています。

 

ひた心目守らんものかほの赤くのぼるけむりのその煙はや

現代語での読み:ひたごころ まもらんものか ほのあかく のぼるけむりの そのけむりはや

作者と出典

斎藤茂吉『赤光』「死にたまふ母」 其の3 10首目の歌

現代語訳

こういう思い迫った気持ちで見つめようとは思ったものだろうか。ほの赤く空の上る煙よ。ああ、母を焼くその煙よ。

歌の語句

ひたごころ…漢字は「直心」。意味は、ひたむきな心。いちずな心

目守る…「まもる」と読む。見守ること。

その煙はや…「はや」は 連語で文末に用いて強い詠嘆の意を表す。「…よ」「…だなあ」などと訳す

句切れと表現技法

  • 2句切れ




解釈と鑑賞

歌集『赤光』の其の3 10首目の歌。

母を焼く火を見守っているところで、一心にその灯を絶やさないように守ろう」というあまり、煙からも目が離せない作者の様子と心情を表す。

焼き終える最後の頃で、見守ろうとするのは、火だけではなく、おそらく、母の最期を見届けようとする気持ちがある。

さらに、焼いてしまえば母は骨となってしまうので、夜が明けるまでのかなり長い時間をそうして待ちながらも、その時間を大切に思おうという作者自身の戒めでもあるだろう。

斎藤茂吉自註より

前の2首は。その母のかばねの燃えるところで、深い感慨を込めた調子であらわして行ったのであった。歌であるから歌の方の約束に基づき。「ははそはの母は言ったり、それから直ぐ「燃えゆきにけり」などと続けているし、また「ひた心目守らむものか」などと強すぎるほどに言い表しているのであるが、これも叙情詩の一体としての短歌の本体に基づくものと思われる。―斎藤茂吉『作歌四十年』より

一連の歌

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