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をさなごは畳のうへに立ちて居りこのおさなごは立ちそめにけり 斎藤茂吉

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をさなごは畳のうへに立ちて居りこのおさなごは立ちそめりけり

斎藤茂吉『あらたま』から主要な代表歌の解説と観賞です。

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斎藤茂吉の短歌案内

斎藤茂吉の第一歌集『赤光』一覧は 斎藤茂吉『赤光』短歌一覧 現代語訳付き解説と鑑賞 にあります。

「死にたまふ母」の全部の短歌は別ページ「死にたまふ母」全59首の方にあります。

 

をさなごは畳のうへに立ちて居りこのおさなごは立ちそめにけり

読み:おさなごは たたみのうえに たちており このおさなごは たちそめりけり

意味と現代語訳

幼いこの子は、畳の上に立っている。この子は初めて立ったのだよ。

作者と出典

斎藤茂吉 歌集『あらたま』

歌の語句

・をさなご…斎藤茂吉の長男のこと

・立ちており…「立つの連用形+居る(をる)+「り」官僚の助動詞」

「立ちそめにけり」品詞分解

立つ…タ行4段活用 動詞の連用形

そむ…「はじめる」の意味の動詞 連用形

に…官僚の助動詞「ぬ」の連用形

 

短歌の修辞法と表現技法

・3句切れ

・「立つ」を含む句の反復

解釈と鑑賞

歌集『あらたま』の中の幼子を詠う歌。

長男茂太氏のことを「をさなご」として、多数の歌を詠んでいる。

おさない子どもが初めて立った時の喜びを、反復で「立ちており・立ちそめにけり」と繰り返す。

最初の「立ちており」は、「立っていた」となるので、気が付いた時には、あるいは茂吉が見た時には、子どもはすでに立っていたということになるだろう。

それをさらに、初めての歩みであるということを「立ちそめにけり」と強調する。

この歌の少しあとには、「をさなごはつひに歩めりさ庭べの土ふましめてかなしむわれは」があるところを見ると、歩み始めたのはそのあとのことで、ここでは、「立った」ことだけを喜んでいると思われる。

次男で作家の北杜夫氏によると、茂吉は子煩悩であったらしく、孫が生まれてからは、共に散歩をするのを楽しみにしており、子ども好きな一面があったようだ。




-あらたま

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