水戸保和苑 6千株のあじさいの咲く寺に金子兜太句碑と山村暮鳥墓  

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水戸保和苑 6千株のあじさいの咲く寺に金子兜太句碑と山村暮鳥墓

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水戸の保和苑というところに行って、まだ最盛期ではないもののあじさいを見ながら、文学散歩をしてきました。
というのは、このお寺には金子兜太句碑と山村暮鳥の墓があるのです。

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金子兜太句碑

金子兜太さんの句碑は、静かなたたずまいの道沿いにあります。

 

 

白梅や老子無心の旅に住む〉

なぜ、水戸にあるのかというと、金子さんは水戸高校に学んだため、そこで初めて詠んだ句、いわゆる処女句が、上のものなのだそうです。
水戸の風物である「梅」が詠まれています。

金子さんは小中学生の頃から開業医の父が埼玉・秩父の自宅で頻繁に開いた句会を見学していたそうです。
その後1937年に水高入学、3年間の寮生活の中で俳句を始めた時、初めて詠んだ記念すべき句となります。

 

 

水高時代の友人らが金子さんの功績を伝えようと、近くの保和苑に句碑を建立したのが、こちらになるのですが、とても雰囲気の良い場所だと思います。2018年2月というので、新しくできたばかりで、金子さんも完成時においでになったようです。

 

句碑建立の茨城新聞記事

金子兜太さん「水戸が原点」 県内俳人、惜しむ声

 

山村暮鳥の墓

 

もう一つ、山村暮鳥の墓が同じ寺の墓所にあるのでお参りをしてきました。

こちらもなぜ水戸にお墓があるのだろうと思ったら、山村暮鳥は水戸市内に転任後、そのまま療養をされていたということです。

 

 

山村暮鳥「雲」

 雲

おうい雲よ
ゆうゆうと
馬鹿にのんきさうぢやないか
どこまでゆくんだ
ずつと磐城平の方までゆくんか

「磐城平」というのは、福島県のいわきのことです。

「山村暮鳥」の筆名は「静かな山村の夕暮れの空に飛んでいく鳥」というところからつけられたものだそうです。

 

「病床の詩」

詩をもう一つあげます。

  病床の詩

ああ、もつたいなし
もつたいなし
森閑として
こぼれる松の葉
くもの巣にひつかかつた
その一つ二つよ

岡井隆の「暁の月の寒きに黒き松の諸葉は白きひかりを含む」を思い出します。

アーサー・ビナードの洞察

この詩について、アーサー・ビナードさんが次のように書いています。

 

アーサー・ビナード(詩人)は、この「もったいない」を、「無駄が惜しい」という意味とは違う意味の「身に余ってかたじけなく、自分にはよすぎるもの」だと言われるのです。

 いや、一見そう見えても読み直せば、そんな限定を拒んでいることが分かる。蜘蛛の巣の糸に吊るされて震えながら光る松葉----その美しさが、結核で床についていた詩人の目には、よすぎるものに映った。のみならず、つかの間のその存在に心を預けることがどれほど役に立つか、詩人はその有用性も感じ取っている。独り占めにするのが惜しく、他者と分かち合おうと、詩が生まれたのだ。

ビナードさんの素晴らしい洞察です。

---そこに在るものが、自分には良過ぎるものである輝きを持っている。それを分かち合そうとするときに、作品が生まれる---

喜びがあふれるときに、身体という輪郭を越えて、それは人に伝わりゆくものとなるのです。

 

保和苑の「あじさい祭り」ご案内

保和苑のある水戸市では「あじさい祭り」が開催されています。このあと、6月中旬からが見頃となるので、その頃に来られるのがいいと思います。

あじさい祭り期間

平成30年6月10日(日)~7月1日(日)

見頃は 6月中旬~7月中旬頃

入場無料 いつでも開園 年中無休

交通アクセス

所在地:水戸市松本町13-19

電車とバス: 水戸駅北口7番バス乗り場から、栄町経由「茨大・渡里方面行き」バスに乗車し15分。「保和苑入口」下車

車:常磐自動車道・水戸ICから約20分

有料駐車場:根岸寺境内に有料駐車場400円

無料駐車場:
・茨城県水戸障害学習センター跡地(土日のみ)
・常陽銀行末広町支店(土日のみ)
・茨城県信用組合上水戸支店(土日のみ)
・鮨・割烹一心(平日のみ)

 

保和苑地図

お時間のある方は、「水戸のロマンチックゾーン」のお散歩、または路線バスの旅もおすすめです。

また、初めて来られる方は千波湖や偕楽園、好文亭も近くにあるため、ぜひ足を延ばしてみてくださいね。

いずれの公園も無料で年中無休、開園閉園の時間なく自由にご利用になれます。




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