短歌の表現技法7つ 比喩 擬人法 体言止め 反復法 倒置法 対句 省略法  

広告 短歌の知識

短歌の表現技法7つ 比喩 擬人法 体言止め 反復法 倒置法 対句 省略法

2020年1月8日

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短歌や和歌の表現技法を知っていますか。試験に出たり、問題で必ず聞かれることですね。

短歌の表現技法、大まかに言って7種類、比喩、擬人法、体言止め、反復法、倒置法、 対句、省略法の各修辞法がどのようなものかをわかりやすく、文例と共にまとめました。

短歌を読んでいて疑問に思った時は、こちらでご確認ください。

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短歌の表現技法とは

短歌の表現技法は大まかに言って、7種類あります。

すなわち、比喩、擬人法、 体言止め、反復法、倒置法、対句、省略法といったようなものがそれに当たります。

歌を自分で詠む場合に意識しなければならないことは他にもありますが、今回は学習者向けに、基本的なところを用例と共にわかりやすくまとめます。

短歌とはそもそも何かの基礎知識は下の記事にあります。

 

1.比喩 代表的な表現技法

比喩というのは、物事の説明や描写において、ある共通点に着目した他の物事を借りて表現することです。

たとえること、その表現を指します。

現代文の例で言うと、「りんごのような頬」とか「雲のような柔らかさ」という通り「・・・のような」と記述されるものです。

比喩は、短歌だけではなく、話し言葉や書き言葉、短歌だけではなく他の詩歌でも多く使われています。

この「ような」の部分は、省略することができます。たとえば、「りんごのような頬」を「りんごの頬」ということもできます。

前者を 直喩、後者は隠喩として分類されます。

「ごとし」または「ごとく」が古語の比喩

短歌の場合は、現代語で読まれるものは、「ような」をそのまま使います。

古語、つまり古い言葉で詠まれた短歌の場合は、現代語の「ような」にあたる「ごとし」という言葉で表現されることが大変多いです。

比喩「ごとし」を用いた短歌用例

列車にて遠く見ている向日葵は少年のふる帽子のごとし

ゆふぐれの泰山木の白花はわれのなげきをおほふがごとし

君かへす朝の舗石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ

最初の歌は「向日葵が帽子のようだ」

2首目は、「おおうようだ」

3首目が、「香りのように」

それぞれ上のような意味となります。

各歌の解説ページ

各歌の詳しい解説ページは以下の通り。

列車にて遠く見ている向日葵は少年のふる帽子のごとし 寺山修司

ゆふぐれの泰山木の白花はわれのなげきをおほふがごとし 斎藤茂吉

君かへす朝の舗石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ 北原白秋

直喩と隠喩の違い

直喩と隠喩の違いについては、下のようになります。

直喩 「ごとく」「ごとし」「ごと」「ように」を用いて例える方法
隠喩 「ごとし」「ように」を使わずに例えるものにつなげる方法

短歌や和歌では、「ごとく」「ごとし」が使われる他、古い時代には「ごと」も用いられます。

現代の言葉では「ように」も用いられます。

対して隠喩とは、「ごとく」「ごとし」「ごと」を使わずに、たとえるものを並置する語法です。

隠喩の短歌の例

 向日葵は金の油を身にあびてゆらりと高し日のちひささよ

あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む

隠喩と直喩の違いについて詳しくは

 

2.擬人法 人以外の主語の技法

擬人法というのは、人間以外のものを人間に見立てて表現する修辞法のことです。

「鳥が歌う」「風がささやく」など、人以外のものが主語になって、その述語の部分を比喩的に表現するものです。

深々と人間笑ふ声すなり谷一面の白百合の花 北原白秋

この「笑ふ」の主語は「百合の花」ですが、百合の花が笑うわけではなく、「百合が笑っているようだ」との作者の見方が、上のような擬人法の表現となります

この歌の解説

深々と人間笑ふ声すなり谷一面の白百合の花/北原白秋 現代語訳と句切れ,表現技法

擬人法の使用

擬人法は現代短歌では普通に使われますが、時代や派によって、短歌の技法には違いがあります。

古い時代の和歌の一部、それから写実主義と言われる明治時代に始まりがある短歌の派においては、ほとんど使われておりません。

 

3.体言止め 名詞で終える技法

「体言」というのは名詞のことです。対する「用言」は動詞です。

短歌の最後が動詞ばかりとは限りません。短歌の一番最後の結句と言われる5句の部分に、名詞を置いて「の」や「は」などの助詞他がないものをいいます。

呼び名は「体言止め」の他、「名詞止め」ともいわれます。

体言止めの用例

この味がいいねと君が言ったから七月六日はサラダ記念日

春の鳥な鳴きそ鳴きそあかあかと外の面の草に日の入る夕

1首目は「サラダ記念日」が名詞で、ここで歌が終わります。

2首目は「夕(ゆうべ)」が最後の言葉で、こちらも体言止めです。

上の歌の解説ページ

この味がいいねと君が言ったから七月六日はサラダ記念日 俵万智

春の鳥な鳴きそ鳴きそあかあかと外の面の草に日の入る夕 北原白秋

 

4.反復法 繰り返しの効果

反復法とは、修辞法の一つで、同一または類似の語句を繰り返すものです。

詩歌の場合は、それで言葉のリズムを作り出したり、言葉を繰り返すことで、意味を強めたりする効果があります。

反復法の用例

観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生

みちのくの母のいのちを一目見ん一目みんとぞただにいそげる

春の鳥な鳴きそ鳴きそあかあかと外の面の草に日の入る夕

1首目は「回れよ回れ」の他「君には一日我には一生(ひとよ)」がそれぞれ反復法を用いています。

2首目は「一目見ん一目見ん」が反復法で、作者の「見たい」気持ちが強調されます。

3首目の「な鳴きそ鳴きそ」は「鳴くなよ鳴くな」の意味の繰り返しです。

各歌の解説ページ

観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生 栗木京子

みちのくの母のいのちを一目見ん一目みんとぞただにいそげる 斎藤茂吉

春の鳥な鳴きそ鳴きそあかあかと外の面の草に日の入る夕 北原白秋

 

5.倒置法 語と句の順番の工夫

倒置法は、文などにおいてその成分をなす語や文節を、普通の順序とは逆にする表現法

語勢を強めたり、語調をととのえたりするために用いられるというものです。

倒置法と句切れとの関係

短歌の場合は、倒置法は多くの場合、一首の中でいったん文章を終えてさらにそのあとに言葉が続く形になります。

一首の中の文の終わり、その動詞の終止形の部分か、または名詞が句切れとなります。

下の例で見てみましょう。

倒置法と句切れの用例

やわ肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君

やはらかに柳あをめる北上の岸辺目に見ゆ泣けと如くに

1首目は「さびしからずや」が句切れ、それ以下が倒置された部分です。

「さびしくはないですか」の意味で、文章がいったん切れていて、さらに「道を説く君」が続けられています。

2首目は、「目に見ゆ」が「目に見える」で文章としては終わりです。

その後に「泣けと如くに」が「岸辺が泣けというように目に浮かぶのだ」の、その「泣けというように」が後ろに置かれているのです。

各歌の解説ページ

やわ肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君 与謝野晶子

やはらかに柳あをめる北上の岸辺目に見ゆ泣けと如くに石川啄木

 

6.対句 対称の技法

対句とは、語句や味の相対する二つ以上の句を対照的に並べて表現する修辞的技巧のことです。

対句の用例

観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生

つばくらめ空飛びわれは水泳ぐ一つ夕焼けの色に染まりて

1首目 「君には一日我には一生」の部分は、繰り返しの反復法が使われていますが、その上、「君○○」「我○○」と対照的な述べられ方がしてあり、対句となっています。

2首目 「つばくらめ」は燕のことですが、「つばめ」と「われ」が動作を含めて、対句となっています。

他に、「山を見よ山に日は照る海を見よいざ唇よ君 若山牧水」なども参考にしてください。

解説ページ

つばくらめ空飛びわれは水泳ぐ一つ夕焼けの色に染まりて 馬場あき子

 

7.省略法

現代文における省略法とは、―(ダッシュ)や…(リーダー)などで、文章や会話の一部を省略することにより、余韻を残し、読者に続きを連想させる表現法のことです。

短歌における省略法は、それとは違って「省略法」とは呼ばず、多くは助詞の省略です。

省略される助詞は主格の後につく助詞「は」や「の」が多いですが、目的語の後につく「を」が省略を受ける場合も比較的多くあります。

はたらけどはたらけど猶わが生活○楽にならざりぢっと手を見る

マッチ○擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや

1首目「生活」のあとに主格の格助詞「の」または「は」が省略されています。

2首目「マッチ擦る」の目的語マッチの後には「を」の助詞が省略されています。

意味上の省略

また他に、短歌には意味上の省略があるものもありますが、こちらはもう少し高度な工夫となるので、試験の出題範囲ではないと思われます。こちらの「省略」は上手に使うと歌に深みがでます。

解説ページ

はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢっと手を見る/石川啄木

マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや 寺山修司

終わりに

以上、短歌でよく使われる表現技法、修辞法についてわかりやすく解説しました。

国語の試験の対策に覚えておいた方がいいのはもちろんですが、短歌の表現技法の理解は、歌を鑑賞するときにも大変役に立ちます。

また、自分で歌を読まれる際にも参考にされてください。




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