和歌の知識

縁語のベスト20一覧 有名な例と解説

縁語とは、和歌で使われる意味上関連する語を連想的に2つ以上用いる修辞技法のことをいいます。

縁語は一部には専門家でも判断が難しいものがありますが、使われる言葉はある程度決まっていますので、一度目を通しておくと見分けやすくなります。

縁語にはどのようなものがあるのか、有名な和歌を例に一覧にして示します。

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縁語とは

縁語とは一首の中に意味上関連する語を連想的に2つ以上用いることで歌に情趣を持たせる、和歌の修辞技法です。

和歌大辞典の定義では

一首の中である語が用いられるとその語と密接な関係を持つ語を選び用いることで、連想による気分的な連接をはかる手法―出典:「和歌大辞典」

この「密接な関係」、「気分的な連接」というところが、縁語の特徴です。

和歌の意味を構成する文章としての主語、述語や修飾語などの語のつながりとは別に、つながりを連想させる語と語と随所にに加える、その言葉が縁語です。

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縁語の代表的な例

縁語の代表歌のように、いつも引用されるのが待賢門院堀河の下の歌です。

長からむ心も知らず黒髪乱れてけさは物をこそ思へ

「長い」「乱れ」は、髪の縁語とされています。

いずれも「髪」から連想できる言葉でで、このように飛び飛びに加えられた縁語が一首に「髪のことを詠んでいる歌」という印象を強めるのです。

この歌の詳しい解説は

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長からむ心も知らず黒髪の乱れてけさは物をこそ思へ 待賢門院堀河

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もう一つ縁語の代表的な歌とされるのが、紀貫之の

ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ

「袖」の縁語は 結ぶ 解く 立つ 涙。

この歌は、縁語を用いた名歌とされています。

袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ 紀貫之

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縁語のベスト20一覧

よく使われる縁語20を一覧にしてあげておきます。

まず、縁語の元となる言葉の20とつながる縁語の一覧はそれぞれ以下のようになります。

主となる縁語副徒なる縁語
節(よ)、根
綻ぶ、乱る、縒る(よる)
海松(みる、海草名)・海人(あま)
天(あま)、天(あめ)、差す
流れ、瀬、淵、底、速し、澄む
晴る・立つ・空
萌ゆ 枯れ
火 くゆる 靡く
葦毛 鹿毛
着る・萎る・褄・張る・断つ・裏
振る 鳴る
結ぶ 解く 立つ 涙
薫物火 火取り 焦がれる
節・根
消ゆ・置く・結ぶ・葉
音 立つ 掛く 砕く 濡る
藻塩焼く 焦がる
張る・射る・引く 返る
緒(命)絶ゆ・ながらふ・弱る

 

縁語を用いた和歌

それぞれの縁語を使った和歌の用例は下の通りです。

縁語1「芦」

芦の縁語は「よ(節)」「ね(根)」

です。

この縁語を使った代表的な和歌は 皇嘉門院別当 の

難波江の葦のかりねのひとよゆゑみをつくしてや恋ひわたるべき

この歌の詳しい解説は

縁語2「糸」

糸の縁語は「ほころぶ」「みだる(乱る)」「よる(縒る)」

この縁語を使った代表的な和歌は 紀貫之 の

青柳のよりかくる春しもぞみだれて花のほころびにける(紀貫之)

縁語3「浦」

浦の縁語は あま(海女・海人) みる(海松)

この縁語を使った代表的な和歌は

みるめ生ふる浦にあるずは荒磯の浪間かぞふる海人(あま)もあらじを

 

縁語4「鏡」

鏡の縁語は 曇る 現はる(あらはる)影

この縁語を使った代表的な和歌は 新古今814の

うらみても 泣きても言はむ 方ぞなき 鏡に見ゆる 影ならずして

 

縁5「笠」

「笠」の縁語は 天(あま)、天(あめ)、差す

この縁語を使った代表的な和歌は 後醍醐天皇の

さして行く笠置の山を出でしよりあまが下には隠れ家もなし

 

縁語6「川」

「川」とその縁語は 流れ、瀬、淵、底、速し、澄む

この縁語を使った代表的な和歌は

淀川の よどむと人は 見るらめと 流れてふかき 心あるものを」(よみ人しらず

 

縁語7 霧

霧とその縁語は 晴る・立つ・空

この縁語を使った代表的な和歌は 紀貫之の

山路にも人やまどはむ川霧のたち来ぬさきにいざ渉りなむ

縁語8 草

草とその縁語は 枯れ 萌ゆ

この縁語を使った代表的な和歌は 源宗于の

山里は冬ぞさびしさまさりける人めも草もかれぬと思へば

縁9「煙」

「煙」の縁語は くゆる 靡く

この縁語を使った代表的な和歌は 菅原道真『大鏡』の

夕されば 野も山も 立つけぶり なげきよりこそ 燃えまさりけれ

 

縁語10「駒」

「駒」の縁語は 葦毛 鹿毛

この縁語を使った代表的な和歌は 藤原定家の

駒とめて袖うちはらふ陰もなし佐野のわたりの雪の夕暮れ

「鹿毛」ではなく「陰」として縁語を用いています。

縁語11「衣」

「衣」の縁語は 着る・萎る・褄・張る・断つ・裏

この縁語を使った代表的な和歌は 在原業平の

唐衣きつつなれにしつましあらばはるばるきぬる旅をしぞ思う

縁語12「鈴」

「鈴」の縁語は 振る・鳴る

この縁語を使った代表的な和歌は 西行の

鈴鹿山うき世をよそにふりすてていかになりゆくわが身なるらむ

鈴鹿山は山の名前ですが、「ふりすてて」「なりゆく」と縁語を用いています。

縁語13「袖」

「袖」の縁語は 結ぶ 解く 立つ 涙

この縁語を使った代表的な和歌は 紀貫之の

袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ

この歌は縁語を用いた名歌とされています。

作者は、紀貫之 解説は下の記事に
袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ 紀貫之

 

縁語14「薫物」

「薫物」の縁語は 火 火取り 焦がれる

この縁語を使った代表的な和歌は 『堤中納言物語』の

こだにかくあくがれ出でば薫物のひとりやいとど思ひこがれむ

 

縁語15「竹」

竹の縁語は 節・根

この縁語を使った代表的な和歌は 藤原定家の

跡もなき末野の竹の雪折れの霞むやけぶり人は住みけり

 

縁語16「露」

露の縁語は 消ゆ・置く・結ぶ・葉・野

この縁語を使った代表的な和歌は 式子内親王の

萩の上に雁の涙の置く露は凍りにけりな月にむすびて

 

縁語17「波」

波の縁語は 音・立つ・掛く・砕く・濡る

この縁語を使った和歌は 紀貫之の

桜花散りぬる風のなごりには水なき空に波ぞ立ちける

 

縁語18「藻塩」

藻塩の縁語は 焼く・焦がる

この縁語を使った代表的な和歌は 藤原定家の

こぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くやもしほの身もこがれつつ

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縁語19「弓」

弓の縁語は 張る・射る・引く・返る

この縁語を使った代表的な和歌は 伊勢物語の

梓弓引けど引かねど昔より心は君によりにしものを

 

縁語20「緒」

緒の縁語は 絶ゆ・ながらふ・弱る

この縁語を使った代表的な和歌は 式子内親王の

玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることのよわりもぞする

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玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることのよわりもぞする 式子内親王

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