教科書の短歌

掛詞とは 和歌の表現技法の見つけ方を具体的用例をあげて解説

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掛詞というのは、古文の和歌にたいへん多く使われる修辞法の一つです。

掛詞の定義と具体的な和歌の用例をあげ、見つけ方を解説します。

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掛詞の定義

掛詞(かけことば)とは、和歌などにおける、同音異義を利用して1語に2つ以上の意味を持たせる修辞技法、つまり表現技法の一つです。

掛詞をわかりやすくいうとダジャレ

掛詞をわかりやすくいうと、いわゆるダジャレとおなじです。

同音異義語とは、「雨」「飴」のように、語は違うが、音が同じものを言います。

掛詞の見つけ方

「待つ」と「松」というような決まった言葉の掛詞の他、他にも「逢う」もよく使われる掛詞です。

掛詞は、枕詞のように決まった文言ではなく、地名なども含まれるため、一目で見分けるのは難しいです。

その代わり、教科書や教材で使われる和歌の方がほぼ決まっていますので、それらの和歌を一通り目を通しておくのが、見つけ方のコツを覚えるよりも、早いといえるかもしれません。

一つの歌に使われる掛詞の数

一つの和歌に使われる掛詞の数は決まっていませんで、一つ一組が普通ですが、中には、下の用例にあるように、2つの作品も、最大で4つの掛詞の含まれる和歌もあります。

数が大ければ多いほど、和歌に慣れた人でないと「見つけ方」は困難になるといえます。

逆に慣れた歌人であれば、小式部内侍のように、その場で複数の掛詞を盛り込んだ歌を作ることも可能であったようです。

 

掛詞を使った和歌の具体的用例

まずは、掛詞を使った具体的な和歌の用例を見てみましょう。

出来るだけ多く上げますので、ざっとみて、「この歌か」と覚えてしまいましょう。

掛詞を使った和歌の一覧

以下は、掛詞を使った和歌の一覧です。

これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関

ほととぎす鳴くや五月のあやめ草あやめも知らぬ恋もするかな

大江山いく野の道のとほければまだふみもみず天の橋立

こぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くやもしほの身もこがれつつ

住の江の岸による波よるさへや夢の通ひ路人目よくらむ

秋の田の穂田(ほだ)を雁(かり)がね暗けくに夜(よ)のほどろにも鳴き渡るかも

陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにし我ならなくに

から衣きつつなれにしつましあればはるばる来ぬるたびをしぞ思ふ

ちはやぶる神世も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは

袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ

わが庵は都のたつみしかぞすむ 世を宇治山と人はいふなり

これらの和歌のどの部分が掛詞なのかを、以下に示します。

掛詞の和歌中の具体的な用例

これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関

掛詞の箇所

:「逢ふ」と「逢坂(あふさか)」の地名

作者:蝉丸
これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関/蝉丸

 

ほととぎす鳴くや五月のあやめ草あやめも知らぬ恋もするかな

掛詞の箇所:

植物の「あやめ」と「綾目」

作者:古今和歌集 読み人知らず

ほととぎす鳴くや五月のあやめ草あやめも知らぬ恋もするかな 解説

 

大江山いく野の道のとほければまだふみもみず天の橋立

掛詞の箇所:

「行く」と「生野」の地名
他に、「ふみ」に「踏む」と「文」(手紙)の二か所がある

作者:小式部内侍(こしきぶのないし)

大江山いく野の道のとほければまだふみもみず天の橋立 小式部内侍

 

こぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くやもしほの身もこがれつつ

掛詞の箇所:

地名「まつほの浦」の「まつ」に同音の「待つ」
こがれつつ…恋に「身を焦がす」と焼く藻の「焦げる」

作者:藤原定家
こぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くやもしほの身もこがれつつ 藤原定家

 

住の江の岸による波よるさへや夢の通ひ路人目よくらむ

掛詞の箇所:

「よる-寄る」と「夜」

作者:藤原定家
住の江の岸による波よるさへや夢の通ひ路人目よくらむ 藤原敏行朝臣

 

秋の田の穂田(ほだ)を雁(かり)がね暗けくに夜(よ)のほどろにも鳴き渡るかも

掛詞の箇所:

「雁―かり」と稲刈りの「刈り」

作者:聖武天皇

 

陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにし我ならなくに

掛詞の箇所:

「染め」と「初め」は同じ「そめ」の音

作者:河原左大臣
陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにし我ならなくに 河原左大臣

 

から衣きつつなれにしつましあればはるばる来ぬるたびをしぞ思ふ

掛詞の箇所:

・「なれ」…「萎る」(着物がよれよれになる)と「馴れ親しむ」の「なれる」を掛け
・「つま」…「妻」と「褄」(着物の裾)
・「はるばる」…「遥々」と「張る」(着物を張る)
・「き」…「来」と「着」

作者:在原業平
から衣きつつなれにしつましあればはるばる来ぬるたびをしぞ思ふ 在原業平

 

ちはやぶる神世も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは

掛詞の箇所:

「くくる」と「くくり初め」の「くくり」の部分

作者: 在原業平
ちはやぶる神世も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは 在原業平

 

袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ

掛詞の箇所:

・「掬(むす)び」と「結び」
・「春」と「張る」
・「立つ」と「裁つ」

作者: 紀貫之
袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ 紀貫之

 

わが庵は都のたつみしかぞすむ 世を宇治山と人はいふなり

掛詞の箇所:

  • 「宇治」という地名と「憂し」の掛詞
  • 「鹿」と「然」(「しか」と読む)との掛詞。「然」の意味は「そういうように」
  • 「住む」と「澄む」との掛詞。澄むは心が澄んでいるという意味。

作者:喜撰法師
わが庵は都のたつみしかぞすむ 世を宇治山と人はいふなり/喜撰法師

 

花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに

掛詞の箇所:

雨が「降る」と、時間が立つ意味での「ふる」

「ながめる」の意味の「ながめ」と「長雨(ながあめ)」

作者:小野小町
花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに 小野小町

 

以上、掛詞を和歌の具体的用例をあげながら解説しました。







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