康哲虎(カン・チョルホ)さんが第34回朝日歌壇賞に選ばれたというニュース記事です。
康さんは元ボクサーという珍しい経歴です。
康哲虎の短歌をご紹介します。
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康哲虎さんの短歌
母国語と母語を隔てる日本海一度も越えず霞むふるさと
もう少し背が高ければボクシングやらなかったよ絵を描いていたよ
喪失の底にも芽生えがあることを認知症ケアの醍醐味とする
地下鉄の吹き上げる風は一瞬のボクサーの夢人込みに消ゆ
ボクサーの明日を預かるセコンドの心が投げた黄色いタオル
在日3世の方ですが、"ふるさと"には行かれたことがないとのこと。
子供の頃はいじめも経験したそうです。悲しいことです。
そして19歳でボクシングの世界に入りますが、網膜剥離で引退。
その後、看護師免許を取り、認知症ケア専門の看護師となられました。
朝日歌壇への投稿は3年前からなのだそうです。受賞おめでとうございます。
ボクサーを続けられなかったということで、「満たされない思いがわだかまる」とのことなのですが、看護師さんもありがたい立派なお仕事です。
ボクサーだったら接点がなくても、看護師さんだからこそ関われる相手もいます。
職業というのは、どんな職業でもどこかで必ず人の役に立っている、そういう尊いものなのだなと思います。
朝日歌壇について
朝日新聞の短歌投稿欄、朝日歌壇には、毎週訳2500通の応募があるのだそうです。新聞に掲載されるのはその内、40首です。狭き門と言われていますね。
毎週読んでいると常連さんもちらほら。
言わなければよかったひとこと理解せぬ母とはいえどわが母なれば
近藤福代さんの介護短歌はかなり長いこと見ています。介護の様子を詠んで投稿。25年になるそうです。
(柔らかい時計)を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ
郷隼人さんは、アメリカの刑務所内に服役中。そこから投稿を重ねています。
関連の本も出ています。
いつもよりながくてすこしきつかったそつえんのひのせんせいのだっこ
100歳を超える投稿者がいる一方、山ぞえ葵さんは幼い常連さんなのだとか。
幼稚園生ですね。素晴らしいですね。
朝日歌壇投稿先など
掲載日:
月曜日
選者:
永田和宏、馬場あき子、佐佐木幸綱、高野公彦 4名
要綱:
はがき1枚に1作品、住所、氏名、電話番号を明記。
未発表の自作のみ。二重投稿は不可。作者が添削する場合あり。
応募先住所:
〒104-8661 東京・晴海支店私書箱300号「朝日歌壇」
朝日歌壇の特徴は
結社誌との比較ということでいえば、緩い感じの歌が多いです。
ただし、若者向けということでいえば、たとえば、ケイタイ短歌やネット短歌から入った現代短歌を目指している方だったら、穂村弘さんのいる、日経歌壇や、加藤治郎さんのいる毎日歌壇の方がお勧めかなとも思います。
日経歌壇
穂村弘さんは他にもダ・ヴィンチ(月刊)の選者もされていますね。
ダ・ヴィンチ
↓
毎日歌壇
それでは皆様も、短歌ライフを楽しんでくださいね!