其子等に捕らへられむと母が魂蛍となりて夜を来たるらし 窪田空穂  

広告 近代短歌

其子等に捕らへられむと母が魂蛍となりて夜を来たるらし 窪田空穂

2018年2月3日

※当サイトは広告を含む場合があります

窪田空穂(うつぼ)の歌が今日の新聞に載っていた。子どもの歌をたくさん残したという。

スポンサーリンク




窪田空穂の短歌

 あまた子(ご)を我の持てれど一の子は極めて愛(かな)し君も然(しか)らむ

「一の子」とは長男のこと。窪田章一郎は同じく歌人。

 鳴く蝉を手握りもちてその頭(あたま)をりをり見つつ童(わらべ)走(は)せ来る

我が瞳直(ひた)に見入りつ其(その)瞳やがて眩(まぶ)しげに閉ぢし人はも

妻を三十歳で亡くした折の歌。

息子を詠んだ歌

子供の歌を読めるとは、子どもの居ない私からするとうらやましい限りだが、しかし子供を持ったゆえの不幸というものもある。
次男はシベリア抑留にて亡くされた。

 親といへば我ひとりなり茂二郎生きるわれを悲しませ居よ

生まれかへり歌は詠まめと言道も曙覧もいひぬかなしやも歌は

 其子等に捕らへられむと母が魂蛍となりて夜を来たるらし  

そのこらにとらえられむとははがたまほたるとなりてよをきたるらし

妻を亡くした窪田空穂が蛍と二人の幼い子どもたちを見て詠んだ歌もまた、美しくも悲しい歌である。




-近代短歌

error: Content is protected !!