鈴木敏史(すずきとしちか)さんの「手紙」の詩、「星の美しい村」のご紹介です。
鈴木敏史さんは、童謡など児童文学に携わった長野県生まれの詩人、ひらがなの多い、やさしくあたたかい詩が、人々に読み継がれているものです。
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鈴木敏史「手紙」
手紙 鈴木敏史(すずきとしちか)
ゆうびんやさんが来ない日でも
あなたにとどけられる
手紙はあるのです
ゆっくり 過ぎる
雲のかげ
庭にまいおりる
たんぽぽの わた毛
おなかをすかした
のらねこの声も
ひたいの汗も・・・・・
みんな手紙なのです
読もうとさえすれば
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星の美しい村 鈴木敏史
星の美しい村
星の美しい村でした
手をさしあげて
静かに振れば
星くずが雪のように
舞い降りてくるかと思われる
村でした
いとこに連れられて
村祭りに行く道すがら
わたしは何度立ち止まって
星空を見上げたことでしょう
祭りから帰る人々が
時々通り過ぎていきます
遠い宇宙からやってきて
またどこかへ
遠ざかっていくように
こんばんは こんばんは
人々は決まって
そう挨拶していくのでした
このわたしにまで
星の美しい村でした
星たちが人々の心の中に
住み着いているかと
思われる村でした
たくさんの人々と
ほのぼのとした光を
投げ合って
わたしは次の日
家へ帰りました
作者について
鈴木敏史さんは、昭和7 年(1932 年)長野県に生まれ、2000 年、68 歳で亡くなるまで、日本児童文学者協会、日本童謡協会会員として活躍されました。成人されてから、ずっと闘病生活を余儀なくされ、そうした日々を過ごしながらの創作活動でした。すぐれた感性、人へのやさしさを感じさせる作品です。(恵庭市 特別支援教育便りより)