血に染めし歌をわが世のなごりにてさすらいここに野にさけぶ秋
短歌雑誌「明星」に初めて掲載された石川啄木の短歌です。
今日の日めくり短歌は、石川啄木の歌集未収録の歌をお届けします。
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血に染めし歌をわが世のなごりにてさすらいここに野にさけぶ秋
石川啄木が短歌を投稿していたのは、与謝野鉄幹主宰の「明星」でした。
そのあとの「一握の砂」の作風からは、やや隔たっている感があります。
この歌は、啄木の短歌が、初めて「明星」に掲載された時の作品。
明治35年のことでした。
中学校を退学した啄木
この年、啄木は学期末試験でカンニングが発覚、出席日数も足りなかったため、前校に処分が掲示されるなど、学校に居場所を失ったつらい時期でした。
「血に染めし歌」というのは、明星好みの派手な表現ですが、「さすらい」というのは、まさにその時の啄木の心境を表す言葉であったのでしょう。
その後の啄木は、与謝野鉄幹の励ましを得て、「明星」に続けて短歌を投稿する一方、詩作にも励み、やがて処女詩集「あこがれ」を刊行、明星派詩人として最初の出発を遂げたのでした。
石川啄木の退学とその理由は
石川啄木の家族と経済事情 盛岡中学退学の背景
「日めくり短歌」コーナーについて
季節の歌や言葉をお届けする「日めくり短歌」、短歌の解説記事は、ブログの制約上、どうしても長くなってしまうので、こちらはさらっと楽しく読めるものをと思ってご紹介していきます。
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