こころ 萩原朔太郎の詩の解説と鑑賞  

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こころ 萩原朔太郎の詩の解説と鑑賞

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萩原朔太郎の誕生日は、11月1日。「朔」の字は一日の意味で、誕生日にちなんで名づけられました。

萩原朔太郎の詩作品より「こころ」について、鑑賞と感想を記します。

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萩原朔太郎について

萩原朔太郎は、1886年、明治19年。群馬県前橋市生まれ。

11月1日生まれのため、(「朔」の字は一日を指す)、朔太郎と命名された。

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父親は開業医で地元の名士とされたが、朔太郎は神経質かつ病弱で孤独癖があり、学業に打ち込めず、落第や退学を重ねた。

北原白秋、室生犀星などと交流し、詩人として出発。高村光太郎と共に「口語自由詩の確立者」とされる。三好達治は弟子。

孫に萩原朔美、娘は作家の萩原葉子。

 

こころ 萩原朔太郎

         こころ

こころをばなににたとへん
こころはあぢさゐの花
ももいろに咲く日はあれど
うすむらさきの思ひ出ばかりはせんなくて。

こころはまた夕闇の園生のふきあげ
音なき音のあゆむひびきに
こころはひとつによりて悲しめども
かなしめどもあるかひなしや
ああこのこころをばなににたとへん。

こころは二人の旅びと
されど道づれのたえて物言ふことなければ
わがこころはいつもかくさびしきなり。

出典:「純情小曲集」所収

 

「こころ」解説と鑑賞

「こころ」は「あじさいの花」、「園生のふきあげ」、ふきあげというのは、噴水を表す当時の言葉、「二人の旅人」と、三つのものそれぞれに例えられ、甘美な情緒がうたわれている。

あじさいは七色に変化し、その花の桃色、紫の色にまつわる思い出を暗示する。 音もなく空に昇って崩れ落ちる水。霧のような飛沫に、心はしめやかに濡れている。

心の中には、常に同伴者がいる。しかし、ものを言わない相手を心の中に持ち続けることの寂しさをもって、詩の言葉が閉じられる。




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