千葉聡先生の歌集『グラウンドを駆けるモーツァルト』とその短歌がきょうの朝日新聞の天声人語に紹介されました。
コロナ禍に影響される学生たちの様子、そして朝日新聞にリクエストを受けた受験の様子も詠まれています。
きょうの日めくり短歌は、千葉聡さんの短歌をご紹介します。
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歌集『グラウンドを駆けるモーツァルト』千葉聡
「ちばさと先生」の愛称で知られる千葉聡さんの短歌集『グラウンドを駆けるモーツァルト』とその短歌が、朝日新聞の天声人語で取り上げられました。
失礼します。
昨日の天声人語をアップさせていただきます。
※問題があるようでしたら削除します。#朝日新聞 #天声人語 #千葉聡 #SMAP pic.twitter.com/IaAhn6pmlg— moisma (@allez_sma) March 19, 2018
教育は政治の言葉で曲げられる 帆のない船のような日本で
コロナで学校はどうなったのか、コロナ禍の影響の強い学校生活で学生たちはどう過ごしているのか。
それらを身近で見てこられたのが、横浜市立桜丘高校の先生をされている作者、千葉聡さんです。
コロナ禍で学校が休校になりました。
そして、オンライン授業や、曜日別の登校も行われました。
もっとも困ったのは新入学の生徒たちが、学校に来られないままの学生生活を余儀なくされたことです。
そのような学校の現場の様子が短歌とエッセイで伝えられているのが、『グラウンドを駆けるモーツァルト』です。
「全国の3年生に捧げる短歌」
それ以上に、天声人語では「全国の3年生に捧げる歌を新たに詠んでいただいた」となっています。
その短歌は
ロッカーと壁のすきまに捨てられた「記述問題対策ノート」
六人掛けテーブルに二人ずつ座りカツ丼の日も学食静か
声出しはx(ばつ)、拍手は〇(まる)バレーボール大会決勝戦大拍手
1首目は、試験の内容が変わったから不要になった参考書を通じて生徒の気持ちを推し量ることができます。
2首目、カツ丼の日は、本当は皆さんが食堂に詰めかけるのでしょうが、間を置かなければならない上、登校する生徒の人数も限られているのかもしれません。コロナ禍の”黙食”の様子が伝わります。
3首目、声は出せないので、拍手で皆が応援をする。怒号ならぬ、”大拍手”となるわけですね。
短歌としてはとても面白いのですが、改めて学生たちが気の毒で胸が痛みます。
そして、作者の先生としての心情も下のように率直に吐露される歌が下の歌です。
白マスクの上の静かな目を見れば、何とかしなきゃ、しなきゃ、と思う
とりあえず学校には通えるようになり、授業も受けられるようになった。
それでも何かが違うということを、上の短歌が伝えています。
マスクは、学校の外の人も誰もがしています。しかし、「静かな目」、これは10代の学生にとっては異例のことなのです。
なので、その後に作者の肉声のような言葉「何とかしなきゃ」が続きます。
「学生や子どものコロナうつ」に関して、ニュースでは、「高校生の3割が中等度以上のうつ症状」があると伝えているのは衝撃的です。
「静かな目」というのは、目だけではなく、教育現場で、作者が感じ取っている言葉にならない危機感を表しているのでしょう。
きょうの日めくり短歌は、天声人語の千葉聡先生の短歌をご紹介しました。
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