短歌の字余りと字足らず「どこまで」の疑問と破調の効果を解説  

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短歌の字余りと字足らず「どこまで」の疑問と破調の効果を解説

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短歌の字余りと字足らずについての解説と説明、字余りと字足らずはどこまで許されるのか、逆にあえて字余りにする効果はどのようなものかを例を挙げて伝えます。

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短歌の「字余り」と「字足らず」とは

短歌は定型詩と呼ばれ、5つの句からなり、基本の形が全体で31文字、各句の文字数が、57577であることが決まっています。

その、57577の文字数が、5、または7、を超えたものを、「字余り」といいます。

逆に、地数が、5、7よりも少なくなったものが、「字足らず」です。

 

短歌の字余りと字足らずはどこまで許されるのか

それでは、字余りと字足らず、作っている短歌においては、どこまではみ出る、または足りなくなってもいいかという決まりや目安はあるのでしょうか。

字あまりに「どこまで」の決まりはない

実は短歌の字余りと字足らずには、特に明確な決まりはありません。

なので、字数の過不足によって「これはダメ」ということはありませんが、短歌であるということが認識される形式を保っていることが大切です。

たとえば、初句が4句になっても、そのあとが、七五調を保っているのなら、詠んでいるうちに、これは短歌だとわかります。

全体を詠んだ時に、短歌だとわかる調べが保たれていれば、十分です。

初句が4文字の字足らずの例

 

複数の句の字足らずの例 宮柊二作

逆に、5つある句のうち、複数の字数が超過をしても、短歌だとわかればいいのです。

蝌蚪(かと)の/卵に/春日さす/生れたければ/生れてみよ

この歌は、初句が3文字、2句が4文字、結句が6文字となっています

極端な字余りの例―斎藤茂吉の短歌

お茶の水を/渡らむとして/蜻蛉(あきつ)らの/ざつくばらんの飛(とび)のおこなひ/見つつかなしむ

初句が6文字である他、4句は14文字となっています。

このように、大きな字余り、字足らずを含む歌は「破調」と呼ばれています。

短歌の字余りと字足らずの効果

上記に並べた歌のように、作者が、効果を出すために、字余りと字足らずをあえて用いる場合があります。

字余りや字足らずが出ないように、滑らかに詠まれるように組み立てることも、短歌の技術の一つですが、字余りや字たらずがあったからと言って、歌が下手だと決まるわけではありません。

一般的に、破調の効果は下のようなときに用いられます。

破調の効果1「甘滑になるのを避ける」

そのままではすらすら読んでしまうようなところを、あえて字足らず、字余りにすることで、その部分に、ある種のアクセントを添えるというものです。

字余りの例

湯いづる山の月の光は隈(くま)なくて枕(まくら)べにおきししろがねの時計(とけい)を照(て)らす

4句を12文字にすることで、この部分が印象的に詠まれる効果があるといえます。

破調の効果2「歌の内容に沿う」

該当する句の字数を増やして長くする、または、短くすることで、歌の内容を強めることが期待されます。

字余りの例

夜をこめて鴉いまだも啼かざるに暗黒に鰥鰥(くわんくわん)として国をおもふ 斎藤茂吉『のぼり路』より

「鰥鰥」は眼が冴えて眠れないさまですが、4句を12文字にすることで、「国を思う」時間の長さが長いことが伝わります。

字余りと字足らずは、やむをえず、字数がオーバーした場合だけではなく、このように、効果を狙ってあえて入れることもできます。

慣れてきたらこのような効果の破調もめざしたいところです。

以上、短歌の字余りと字足らずについて解説しました。




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