朝日歌壇コラムの「うたをよむ」に歌集『パン屋のパンセ』より、現代の短歌の歌人、杉崎恒夫の短歌が紹介されました。
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朝日歌壇に「うたをよむ」に『パン屋のパンセ』が紹介
朝日新聞、日曜日は朝日歌壇の中央に「うたをよむ」のコーナーがあります。
2月6日は歌人の杉崎恒夫の歌集『パン屋のパンセ』が紹介されました。
コラムの執筆者は、歌人の岡野大嗣さんです。
※朝日歌壇の内容と投稿については下の記事を
歌人 杉崎恒夫について
歌人の杉崎恒夫さんは、若手に混じって「かばん」に投稿、90歳近くまで歌を詠み続けました。
歌集は、『パン屋のパンセ』が第二歌集で、本の装丁も美しく、歌の雰囲気にもマッチしています。
ひらがなの多い、柔らかい調べの歌が多く、歌人のなくなった今でも人気の歌集の一つです。
今回筆頭に紹介された歌は
日の暮れはわれを異国の人にするたった一駅はなれた街で
という作品です。
本の装丁と相まって、メルヘンチックな歌が多いように思われるかもしれませんが、生死を意識したこのような歌もあります。
みかん色の灯のつく街に帰りくるこんにちの死をパスした人ら
『パン屋のパンセ』の作品は、70だから80代の作品ということですが、作者はもともと気象関係の自然科学系の人らしく、かつ高齢のため、このような視点を持ったものでしょう。
歌集には、ほのぼのするような歌と共に、このような歌が多くみられるのも特徴の一つです。
他に引用されたのは下のような歌
濁音を持たないゆえに風の日のモンシロチョウは飛ばされやすい
さみしくて見にきた人の気持ちなど海はしつこく尋ねはしない
繰り返しページをめくっては読み返したい歌集の一つです。