【解説】飛び込みのもう真っ白な泡の中 情景と作者の思い 切れ字と句切れ  

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【解説】飛び込みのもう真っ白な泡の中 情景と作者の思い 切れ字と句切れ

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飛び込みのもう真っ白な泡の中

作者神野紗季の教科書掲載の俳句の切れ字や句切れ、意味の解説を記します。

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飛び込みのもう真っ白な泡の中

読み:とびこみの もうまっしろな あわのなか

作者と出典:

神野紗季(こうのさき)

現代語訳

飛び込みをしてまもなくあたり一面真っ白な泡の中にいる

切れ字と句切れ

切れ字なし

句切れなし

季語

季語は「飛び込み」 夏の季語

形式

有季定型

 

解説

若手で新人の作者が、日常にある飛び込みの風景から自らの心の感動を詠んだ句。

この俳句の情景説明

初句「飛び込みの」で、作者は、プールや海などの水のある所で、飛び込みをしたことがわかる。

「真っ白な泡」というのは、飛び込み後の視界の様子。

この俳句のいいところ

初句のあとすぐに「もう」という、副詞がある。

17文字という短い間に、時間の経過を表している。

作者の思いと心情

さらに、「もう」には、水の中に入った時の視界の急激な変化と共に、作者の心に生じた驚きを端的に表現する。

「真っ白」は、泡の色を表す言葉だが、促音を含むことで、ダイナミックな変化と作者の反応も伝わってくる。

この句の鑑賞

飛び込みの情景をそのままに詠んだものだが、「もう」には時間の経過が盛り込まれ、つづく「真っ白」はリズムのアクセントと共に大きな変転が表現される。

起承転結の「起承転」までが、この部分にある。

「真っ白」な瞬間には、視界のあたり一面が白いという以外には何もないが、「泡」という言葉が出てくることによって、それが泡だと泳ぎ手である作者に認識される。

そして「水の中」では、読み手は、「視界」という狭い範囲の情景から、作者に同化して、水のもっと先に視点を移動するか、もしくは、水の中に一瞬制止する、泳ぎ手の姿を思い浮かべるかもしれない。

17文字の短い間に、飛び込みの瞬間とその後の時間経過、自分を取り巻く空気から水への変転とその感動をち密にとらえた一句となっている。

この俳句の感想

飛び込みの時は気持ちも高まり、最初に水に入る時が、一番ドキドキする感じがあります。それも一つの感動というのだとわかります。飛び込みを終えるまで、その瞬間は一瞬なのですが、それ自体が短い定型の俳句だからこそ、その瞬間をとらえることができるのかもしれません。そのあとの泳ぎはもっと長く続くはずですが、一番大切なところだけが詠まれているように思います。

 

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