渋沢栄一の誕生日は、3月16日です。
今日の日めくり短歌は、渋沢栄一の追悼歌と、渋沢栄一の娘である歌人の穂積歌子の歌一首をご紹介します。
スポンサーリンク
渋沢栄一とは
渋沢栄一とは日本の実業家の父といわれる人物です。
1万円札の顔となるということで、その名が一層知られるところとなりました。
渋沢栄一の誕生日は、きょう1840年の3月16日です。
忌日は、1971年12月18日ですが、渋沢栄一の短歌というと、よく引用されるのが下の歌です。
資本主義を罪悪視する我なれど君が一代は尊くおもほゆ
歌の会員誌「アララギ」に掲載された歌で、作者は本誌には掲載されるものの、わからないままになっているようです。
この歌は、葬儀の終わった年の暮れに渋沢栄一の息子、英雄さんがアララギ誌に見つけたもので、作者名は記憶されなかったとのこと。
短歌の作られた昭和6年はプロレタリアへの動きと弾圧があり、上の句はその時代を反映しています。
しかし、この歌は「渋沢栄一の逝去を追悼する」という言葉と共に投稿、本誌に掲載されました。
「父が誠実に働き通した幅の広い一生は、人生観・社会観・国家観のちがう若い人にも、この歌のような例外的な共感をよびおこしたのであろう」-「渋沢栄一 下」より
と息子の秀雄さんは記しています。
渋沢の娘は歌人の穂積歌子
渋沢栄一の娘の穂積たか子は、歌人として歌を詠み『穂積歌子日記』『ははその落葉』などの著作があります。
そのタイトルになったのが、下の歌
繁かりし蔭をしそ思ふ秋すきてははその落葉かくにつけても
意味は
秋が過ぎて葉が茂っていた木の陰のことを思う。ははその落ち葉がこのように落ちるのを見るにつけても
「ははそ」ミズナラなどのナラ類およびクヌギの木のことですが、ここでは、木と木の作る影のように、母に守られて育った子どもの時のことを回顧したものです。
この母が、渋沢栄一の妻千代のことで、テレビドラマにも繰り返し登場するシーンがありましたが、子供たちのみならず、渋沢も多く支えられて事業を成し遂げられたといえるかもしれません。
きょうの日めくり短歌は、渋沢栄一の誕生日にちなみ、関連する短歌二首をご紹介しました。
・日めくり短歌一覧はこちらから→日めくり短歌