笹井宏之さん、惜しくも26歳で早世された歌人ですが。その名をとった「笹井宏之賞」が創設されたニュースです。
賞の応募要項と、笹井宏之さんの短歌についてもご紹介します。
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笹井宏之さんについて
笹井さんは佐賀県出身。
身体表現性障害という精神的な持病があり、病状が悪い時は病臥されて過ごされていたそうです。
佐賀新聞読者文芸に投稿後2007年、未来短歌会に入会し加藤治郎に師事され未来賞受賞。
清新な作風とともに注目されました。
外出もままならなかったようですが短歌を初めて外との接触ができ、友人ができたり運転免許を取るまでに回復するも、インフルエンザ罹患時に急逝。26歳でした。
短歌については、繊細な感性とやわらかなユーモアが特徴といわれています。
ねむらないただ一本の樹(き)となってあなたのワンピースに実を落とす
ひとりずつひかりはじめてもうだれも街を流れる星なのでした
蜂蜜のうごきの鈍ささへ冬のよろこびとして眺めてをりぬ
あまがえる進化史上でお前らと別れた朝の雨が降ってる
冬ばつてん「浜辺の唄」ば吹くけんね ばあちやんいつもうたひよつたろ
通学したり、外出したり、人と交わったりということが極端に少なかった人には、それとは別の世界のものが新鮮な印象を持った贈り物となって与えられるのだろうと思います。
笹井賞創立の運び
笹井さんはネット上にも投稿をしており、いわゆるネットから生まれた歌人でもあるようです。
笹井賞を創設した書肆侃侃房の田島安江代表は
「いまの若い歌人には、結社に入らずネット上で活動している人も多い。私たちがまだ知らない才能に出会うきっかけになれば」
と話しており、ネット上の歌人の発掘が目的だと話しています。
笹井宏之賞 応募要項
応募は未発表の短歌1人1編(50首)まで。10月15日締め切り。
同社が運営するウェブサイト「現代短歌ロード」内の応募フォームから。
選考委員:大森静佳、染野太朗、永井祐、野口あや子、文月悠光
受賞作品の特典は
賞金はないようですが、同社が今夏創刊する短歌ムック『ねむらない樹』の第2号(来年1月刊行予定)に掲載されるとのこと。
それと副賞として、同社から歌集が刊行されるそうです。
笹井さんの歌集
新鋭短歌シリーズより。
第一歌集と第二歌集。