朝日歌壇選者の新春詠2026年年朝日新聞 高野公彦,永田和宏,佐佐木幸綱他  

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朝日歌壇選者の新春詠2026年年朝日新聞 高野公彦,永田和宏,佐佐木幸綱他

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朝日歌壇の選者である高野公彦、永田和宏、佐佐木幸綱、川野里子の諸氏の新春詠が掲載されました。

各選者のプロフィールと代表作品と合わせて朝日新聞からご紹介します。

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朝日歌壇選者の新春詠

朝日歌壇の選者は、現在高野公彦、永田和宏、佐佐木幸綱、川野里子各氏の4名です。

それぞれの新春詠と、自分んで新春詠を読む時のヒントとなる言葉、また、それぞれの選者についても詳しくご紹介します。

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佐佐木幸綱の新春詠

タイトル:白梅の光

作者:佐佐木幸綱

元旦の空の青さよしかすがに白梅のはないよいよ白し

蕾ふふめる白梅の木に元旦の風がしばし見えいたりけり

「しかすがに」は 万葉集に見られる古語で元の意味は「 そうはいうものの。 そうではあるが、しかしながら」、現代では「さすがに」の意味もあるそうです。

令和の語源となった梅花の宴には、大伴百代(おおとものももよ)作の梅を読んだ歌「梅の花散らくはいづくしかすがにこの城の山に雪は降りつつ」があります。

2首目は、「風がしばし見えいたりけり」「風がしばし見えていたのであった」は、風が伝える梅の花の蕾の微妙な揺れでしょう。「見えいたり」「しばし」は風のみられるその時間を強調しています。

「見えいたりけり」は斎藤茂吉に「たたかひは上海に起り居たりけり鳳仙花紅く散りゐたりけり 『赤光』」の用法があります。

比較して鑑賞するのも興味深いことです。

佐佐木幸綱プロフィール

佐佐木幸綱1938- 東京出身。昭和13年10月8日生まれ。歌人,国文学者。佐佐木信綱の孫。

「心の花」編集長。「群黎(ぐんれい)」(46年現代歌人協会賞)などで、男歌と呼ばれる男性的な力づよい歌を詠む。

63年早大教授。平成6年「滝の時間」で迢空(ちょうくう)賞。12年「アニマ」で芸術選奨。16年「はじめての雪」などで現代短歌大賞。20年芸術院会員。

24年「ムーンウォーク」で読売文学賞。

佐佐木幸綱代表作品

泣くおまえ抱けば髪に降る雪のこんこんとわが腕(かいな)に眠れ
月下の浜に朽ちゆく船の影ぞ漕ぎ出ずるなき一生(ひとよ)悲しめ

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高野公彦の新春詠

タイトル:年初の光

作者:高野公彦

越前の倉庫にひそと冬を越す恐竜親子を思ふ年の夜

働いて働いて国に不幸を呼ぶ人あれど来る年初のひかり

調べたところ、新潟には恐竜のテーマパークがあるようです。

2首目は流行語大賞となった、高市総理大臣の言葉を取り入れています。

歌人高野公彦のプロフィール

高野公彦 1941-

愛媛県出身。東京教育大卒。昭和16年12月10日生まれ。

「コスモス」に入会,宮柊二(しゅうじ)に師事。

人生の奥深さを凝縮した表現でうたい,昭和57年「ぎんやんま」で短歌研究賞。

平成8年「天泣(てんきふ)」で第1回若山牧水賞、25年「河骨川」で毎日芸術賞、27年「流木」で読売文学賞詩歌俳句賞。愛媛県出身。東京教育大卒。

歌集に「汽水の光」「天平の水煙」など。

高野公彦代表作品

蝉のこゑしづくのごとくあけがたの夢をとほりき醒めておもへば
ふるさとは霜月の夜のしづけさのみなもと暗く石の臼冷ゆ

 

永田和宏の新春詠

タイトル:猫をはべらせ

作者:永田和宏

いはくらの小さき社の炎(ひ)のそばに年を送りて年を迎ふる

抱かるるを我慢する奴こばむ奴侍らせてわが年の夜の酒

岩倉市は愛知県の都市だそうで、そちらに行かれて年越しとなったのでしょう。

短歌では同じ言葉を重複しないように用いますが「年を送りて年を迎ふる」としていますが、この年は別々の年で2つの年の入れ替わりを表現されていいます。

そもそも時の流れは一律ですが、このような区切りは人が定めるもので、考えて見れば不思議なことです。

2首目はタイトルの情景で、猫の呼び名の「奴」2回使われており、こちらも一首目と相関があります。

歌人永田和宏のプロフィール

1947- 昭和22年5月12日生まれ。滋賀県出身。「塔」を主宰。妻は歌人の故河野裕子。

京大在学中,高安国世に師事し「塔」に入会,昭和50年「メビウスの地平」でデビューする。

宮中歌会始詠進歌選者。細胞生物学の研究者でもあり、2016年京都産業大学タンパク質動態研究所初代所長。

平成11年壮年男性のせつなさをよんだ「饗庭(あえば)」で読売文学賞。

16年「風位」で芸術選奨,迢空(ちょうくう)賞、20年「後の日々」で斎藤茂吉短歌文学賞、22年「日和」で山本健吉文学賞。

25年「歌に私は泣くだらう―妻・河野裕子 闘病の十年」で講談社エッセイ賞,「夏・二〇一〇」で日本一行詩大賞。

永田和宏代表作品

きみに逢う以前のぼくに遭いたくて海へのバスに揺られていたり
歌は遺り歌に私は泣くだろういつか来る日のいつかを怖る

川野里子の新春詠

タイトル:春の馬

作者:川野里子

疾駆する馬と馬と馬とほりすぎ蹴られて春の大地が匂ふ

非武装中立地帯のやうに一頭の野生馬はかなた草を食みをり

今年は午年なので馬の歌が新春詠の巻頭を飾りました。

「馬と馬と馬」の2句は字余り、馬は三頭です。

「とほりすぎ」と「蹴られて」は並立しますがが、4句目頭の「蹴られて」の主語は馬ではありませんので短歌の技法でいう省略があります。

新春詠で使える言葉

新春詠らしく歌うには、どのような言葉が使われているかをまとめると、

  • 元旦の~
  • 年の夜
  • 年初の~
  • 年を送る
  • 年を迎える

などのフレーズが新春詠らしいフレーズとなるでしょう。ぜひ参考に詠んでみてくださいね。




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