毎日歌壇選者の新春・新年詠 米川千嘉子,篠弘,伊藤一彦,加藤治郎  

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毎日歌壇選者の新春・新年詠 米川千嘉子,篠弘,伊藤一彦,加藤治郎

2020年1月7日

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毎日歌壇の選者である米川千嘉子,篠弘,伊藤一彦,加藤治郎の諸氏の新春詠が掲載されました。

各選者のプロフィールと代表作品と合わせて朝日新聞からご紹介します。

なお、朝日新聞の新春詠の掲載は、別記事にまとめましたのでご覧ください。

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毎日歌壇選者の新春詠

朝日歌壇の選者は、現在、米川千嘉子,篠弘,伊藤一彦,加藤治郎各氏の4名です。

それぞれの新春詠と、それぞれの選者について、あらためてご紹介します。

米川千嘉子氏の新春詠

「淑気」

門松や輪かざり香る草木(さうもく)のいのちを立てて淑気ありたり

一日(ついたち)のコンビニ開(あ)かず人間のために新年の淑気のために

米川千嘉子氏経歴紹介

昭和34年10月29日生まれ。千葉県出身。早大卒。

高校教師をつとめるかたわら,馬場あき子主宰の「かりん」に所属。

「夏樫の素描」で角川短歌賞。「夏空の櫂」で現代歌人協会賞。「滝と流星」で若山牧水賞ほかの受賞多数。

作風は、ゆたかな調べと整った歌が特色。

米川千賀子氏代表作品

鳩のやうな新人銀行員の来て青葉の新興住宅地に迷ふ

息子の白いお尻ももうすぐ見なくなる洋服をきた母と子になる

篠弘氏の新春詠

「空を仰ぐ」

まひるまの秋空の碧(あを)を望まむか水晶体はいまだ冴えゐる

しろがねの光を撒ける白樺の芽ぶくを待たなこの真青空

篠弘氏経歴紹介

昭和8年3月23日生まれ。東京出身早大在学中に「まひる野」「早大短歌会」に所属し,土岐善麿,窪田(くぼた)章一郎に師事。愛知淑徳大教授。

19年「緑の斜面」「篠弘全歌集」で毎日芸術賞。22年日本文芸家協会理事長。24年「残すべき歌論 二十世紀の短歌論」で斎藤茂吉短歌文学賞。

篠弘作品紹介

やはらかに4Bの芯は黒光り鉄のかをりす皿にそろひて

冬日さす珈琲カップの影のびて口閉ざしあふひとときもある

書棚より「論争史」抜きてまた戻す若書きの書がわれより生きむ

伊藤一彦氏の新春詠

「明日」

古き靴捨てたり靴がもつ過去も磨き捨てたり明日を恃みて

汝(なれ)もよき年を待たむか穭田(ひつぢだ)に土器のごとくに動かざる鳥

伊藤一彦氏経歴紹介

昭和18年9月12日生まれ。宮崎県出身。
早大在学中に作歌をはじめ,卒業後郷里宮崎県の高校教師となる。昭和43年「心の花」入会。

平成8年「海号の歌」で読売文学賞。15年宮崎県立看護大教授。

20年「微笑の空」で迢空(ちょうくう)賞。同年毎日歌壇選者となる。22年「月の夜声(よごえ)」で斎藤茂吉短歌文学賞。
作風は現代の短歌表現を意識し,人生の悲哀を歌にもる。

伊藤一彦氏作品紹介

あまりにも「いい子」の君は手首切る過剰期待はすでに虐待

梅の林過ぎてあふげば新生児微笑のごとき春の空あり

よき長男よき委員長のこの生徒よく磨かれし嵌め殺しの窓

加藤治郎氏の新春詠

「天の橋立」

晴れた日にここまで来たというふみはあなたと渡る天の橋立

あなたは何を見たのだろうかふりかえりふりかえり天の橋立

加藤治郎氏経歴紹介

1959年11月15日生 愛知県出身。歌誌「未来」選者。

口語短歌の改革者として意欲的な試みに取り組み、「ニューウェーブ」の旗手と称せられる。

若手歌人のプロデューサー的役割を担うことも多く、現代短歌における最重要人物の一人。

門下に笹井宏之、柳澤美晴、野口あや子、佐藤羽美、天道なお、中家菜津子、小坂井大輔、戸田響子、西村曜、などがいる。

書肆侃侃房の「新鋭短歌シリーズ」監修者を務める。

加藤治郎氏代表作品

マガジンをまるめて歩くいい日だぜ ときおりぽんと股(もも)で鳴らして

しんそこほしいさみしいすみか霜月の女生徒の弾くパイプオルガン

虹の彼方は真っ白だった乳ふさの風車の回る空を見上げて

終わりに

現代の歌人たちの新春詠、いかがでしたでしょうか。

皆様も新しい年の短歌を毎年詠んで残されてみてくださいね。




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