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吾も亦(また)紅なりとひそやかに~吾亦紅われもこう一茶と虚子 吾亦紅の現代短歌

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秋の草花である吾亦紅、地味な花ですが、俳句や短歌に古くから詠まれています。

吾亦紅の入った、俳句と短歌を集めてみました。

 

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吾亦紅の俳句 小林一茶と高浜虚子 

吾亦紅(われもこう)さし出て花のつもり哉  一茶

なるほど花らしくない花かもしれない。他の華やかな花を、地味な花は恋うたかもしれない。

「吾亦紅」の名の由来は、「われもこうありたい」とのはかない思いをこめて名づけられたと言われる一方、「われもまた紅い」の意味でもあるとも言われる。

続いて虚子の俳句も見てみよう。

吾も亦(また)紅なりとひそやかに   高浜虚子

意味:
牡丹のような目を引く花とは違い、目立たない地味な花ではあるけれども、私もまた紅い花であるには違いないのですよ。ひそかにそう申してみましょう。

「私も」とそっと言ってみる、その「花の気持ち」はいじらしい。

若山牧水の吾亦紅の短歌

短歌なら牧水のものがよく知られている。

吾木香すすきかるかや秋くさのさびしききはみ君におくらむ   「別離」若山牧水

意味:
ワレモコウもすすきも枯れたでしょうか。秋草の、しかも枯れていちばんさびしいところをあなたに贈りましょう

「かる」は「枯れるの文語。終止形。牧水の歌集『別離』は園田小枝子との別れを詠ったもので、この歌も相手と別れたことによる自分の寂しい気持ちを表して送ろうとしたものだ。

 

現代短歌の吾亦紅

他に現代の短歌から 歌人田谷鋭(たやえい)の歌から。

偶然(わくらば)に子が採り来しとふ望の夜のすすきに添へて吾亦紅もあり

意味は、たまたま子供が摘んだという吾亦紅が、望(もち)の夜、満月に生けてあるすすきと一緒に生けてある。十五夜の風景が静かに詠まれている。

青銅の甕をし打てば秋草や吾亦紅のみびびと震いぬ

橋本喜典の歌もある。こちらは、野にある吾亦紅。
意味は、寺の庭の鐘を打つと、秋の野には目立つ草もなく、ただ、紅の花を先に持つ吾亦紅だけが、ぶるぶると震えたという。

秋の野と鐘、地味な花である吾亦紅の取り合わせが良い。

朝の日に照る吾亦紅さいわひはどこよりも来ずどこにも行かず

作者は伊藤一彦。カウンセラーをされていて、人の悩みに寄り添う仕事をされていた。

地味な花である吾亦紅が、幸の象徴とされている。

人を瞬(またた)かすほどの歌なく秋の来て痩吾亦紅 それでも咲くか 斎藤史

歌を詠む人にとっては、クスリと笑ってしまうような歌。地味で、線の細い、吾亦紅のような歌しかできないが、それでも歌を詠もうということが、吾亦紅にたとえられている。

大江山桔梗刈萱吾亦紅 君がわか死われを老いしむ 馬場あき子

能に通じていた作者。「大江山」の謡にある「頃しも秋の山草、桔梗刈萱破帽額(ききょう、かるかや、われも こう)。 紫苑といふは何やらん。鬼の醜草とは、誰がつけし名なるぞ」が詠み込まれている。
舞台では、この後に山伏に盃を勧める場面となるが、そこで亡くなった君に語りかけるかのような作者の述懐が交錯する。広がりのある一首。

ワレモコウはバラ科の草

 

地味なワレモコウは意外なことに、バラ科の草であるらしい。

吾亦紅/吾木香/我毛香 
バラ科の多年草
山野に生え、高さ約1メートル。8、9月ごろ、分枝した茎の先に暗紅紫色の短い花穂をつける。花びらはない。根と根茎を漢方で地楡(ちゆ)といい、止血・解毒に利用される。

花言葉は「愛慕」であるという。

 

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